夢
□大丈夫じゃねーよ
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ダムダム………キュッ
部活前だがボールの音が聞こえる。
みんなしっかり練習しているみたいだな。
ガチャ───
練習をしていないやつがいる……?
……っ高尾てめぇ
「でさでさ!真ちゃんがね!狸の信楽焼をさwwwwwwww」
『ラッキーアイテムなのだよwwww』
あいつ、風菜と話してんのかよ。いい度胸だなぁおい……。
「高尾ぉ」
あっやべ、みたいな顔をしているが気にしない。
「練習もせずに何やってんだぁ?」
「…………お話しシテマシタ」
「シテマシタ、じゃねー!!轢くぞ」
「うぅっ…すいませんっ」
『あ、あんまり怒らないでっ!!』
風菜がこの状況を何とか止めようとしている。
「風菜は高尾を庇うのか?」
『え、いや、そういうことじゃなくて………』
「…………あ、オレ練習してきまっす」
緑間らのいる方へと逃げていった。
オレは風菜を体育館外へ出した。
『………ごめんなさい』
「別に謝ってほしいんじゃねぇんだよ。だからその、気付けよな……」
風菜は頭上にはてなマークを浮かべていた。
「だから……お前はオレの彼女なんだから、さっきみたいに別の男と仲良く話されたら誰だって………っ、なんでもねぇ」
『もしかして、嫉妬してくれてる?』
「んなっ……」
つい口が滑り、変なことまで言ってしまった。時よ戻れ…………っ。
無理だ。
『私のために嫉妬してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ?私は宮地先輩から離れるつもりはありませんから♪』
にこっと笑いながら言う。
「っ、オレが大丈夫じゃねーんだよ……」
風菜を抱きしめる。
「風菜が他の男と話してるのも、急にそんなこと言われるのも、全然大丈夫じゃねぇから。だからその、………離れんなよ」
『離れないって言ったじゃないですか』
当たり前のように笑う風菜が愛おしい。
風菜にはオレしか写っていないようだ。
それでいい。ずっとオレだけ見てればいい。