夢
□あなたの一番
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今日はバスケの試合がある。
いや、私がでるわけではないのだけれど。
私の彼氏が出ているので見に来たのです。
……お、でてきた!
彼を目で追っていると、なにやら会場の女の子を指さしている。
どうせ「今日オレはあの娘のために戦う」とか言ってるんでしょ?
ここに彼女さんがいるんだけどなー…いつも。
まぁ、気にしないようにしているけどね、少しくらい考えちゃうよ?
……とか思いながら眺めていると、目があった。満面の笑みで手を振ってくれた。私も精一杯振り返す。“がんばって”と口パクで伝える。
試合終了。結果は海常の勝ち。強いな海常……!森山さんも活躍してたし………やっぱカッコいいな。
じゃ、控え室行って差し入れでもしよっかな。
『失礼しまーす』
「風菜!!来てくれてありがとう」
一番に森山さんが返してくれる。
「風菜っち!今日も来てくれたんスか!」
『当たり前ですよ♪試合お疲れ様でした。さすがですね!あ、これ差し入れです』
笠松さんに家で作ってきたハチミツレモンを渡した。本当は試合中の方がいいのだけれど、試合中にはいれないし。
「ん、おいしい」
森山さんはいつも私の料理を褒めてくれる。嬉しいよ。
「そういやあの娘……」
「おい」
あ、今日指さしてたあの女の子ですね分かります。気にしてなんかいませんよ?全然………と言ったら嘘になりますかね。
「試合終わって見たら居なかったんだよ……。試合中にどこかに行っちゃったのかな……」
『………』
私は何も言えなかった。
「おい森山、場をわきまえろ」
森山さんは少し悲しそうな顔をしていた。それは私もかもしれない。
「あ、風菜?ちょっと来てー」
急になんですか?森山さん。まぁついてくけど。
『何?』
「いや、なんか喋ってなかったから」
『…………』
「風菜さ」
壁をうしろに挟まれる。
森山さん…………??
「もしかして、嫉妬……してる?」
『は?そんなこと』
「嘘だー」
黙り込んでしまう。だって図星だから。
「いつも、あの娘のために……とか言ってるけど、それを風菜が気にしてたらごめん。でもね?」
「一番はもちろん風菜だから。忘れないでね?」
『…ほんと?』
「ほんとだって。それにそんな涙目上目遣いで見つめられたら、我慢……できないよ?」
『……んんっ///』
森山さんはキスをした。私の今までの嫉妬も、今までの不安も消すように。よかった、森山さんの一番で………。
『も、森山さん……っ』
「やっぱ風菜可愛い♪あと、森山さんなんてさん付けしなくていいんだよ?」
『よ、よした…かくん?』
「そ、いい子いい子♡」
にこっと笑って頭を撫でてくれた。もう、ずつと信じてるからね。不安にさせないでね?