短編夢4

□Y
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君との出逢いに、感謝








【Y】





「お誕生日、おめでとうございますっ」








『う、おっ!?



びっくりしたぁ…あれ、今日俺誕生日か』









大好きな年上彼氏に、朝一で抱きつく。

自分の誕生日すら忘れるほど働いてくれてる彼氏に、普段からの精一杯の感謝をこめて!







『ふふ、プレゼントがあるんです』






「え…」






『じゃーん!!』







バックから出したのは、キレイに包装してもらった箱。







「すげ…ありがと。




開けていい?」







『もちろん!』







ちょっと奮発しちゃったもんね!


どんなふーに喜んでくれるかな…






キラキラした目で、箱を開ける彼を見ていると、







「…ちょ、お前コレ…」






箱の中身をみて、驚いているといえば驚いている彼。




だけどその表情は、絶句…?








「な、なぁコレ、いくらしたんだよ!?」







彼が欲しがってた、限定品のブランドスニーカーをプレゼントした。








『ね、値段なんてっ、気にしないでよ』






「だーめ!
コレ相当高いんだから!




あ〜…なんでこんな高いモン…」








プレゼントをあげたはずなのに、なぜか怒られた。






『なんで…?

気に、入らなかった…?』






目に涙が溜まってきて、こぼすまいと俯けば、ギュッと抱き寄せられた。






「嬉しいよ。




すっげー嬉しいけど…




お前からは貰おうと思ってたもんがあったの!」





『はぅ、なに…?




あ、でももうお金ない…っ』





そんなこと言ったらデコピンされた。





「ばーか!金なんか関係ないの!






…靴、ありがとな。大事に履くから」






デコピンで熱をもったおでこにチュッとキスされて、とりあえずプレゼントをもらってくれたことに安心する。






『なにが、ほしかったんですか…?』






聞くと、彼は黙り込んで、意を決したように目を合わせて…






「お前の残りの人生ぜーんぶ…





俺に、ください。




…ってお願いしようとした」





その瞬間、涙が溢れて。






返事の代わりに、キスをした。







『っ、ありがと、ございますっ…』






「お礼言うのは、俺のほうだよ。


…大好き」







違う、違うんです。




今お礼を言ったのは、あなたと出逢わせてくれた奇跡に。





この運命を作り出した、神様に。






あなたを産んでくれた、あなたのお母さんとお父さんに。







もちろん、あなたにも。





とにかくたくさんの“感謝”をこめたんです。






(はっぴーばーすでぃ!)




END




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