novel

□せめて、貴女と終わりたいと想う
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【せめて、貴女と終わりたいと想う】




「‥何というか、」

いつになく真剣な表情のまま、言葉は途切れる。


「『好き』では足りないし『愛してる』では在り来たり過ぎるのです」


手を掴まれて、引き寄せられる。

そのまま背中へと腕をまわされると、温かな安心感に包まれて私は静かに目を閉じた。


「私は随分と永く生きていますが、この気持ちを伝えられる術を持ち合わせていません」


そう言うと、彼は黙り込んでしまった。


――昼間とは対照的で静かな屋敷内。

星一つ無い真っ暗な空には、やわらかな光を纏った月が浮かんでいた。


大きな窓から差し込むその光で照らされた紅の瞳は何とも弱々しくて、私は思わず回したままの手に力を込めて強く抱き締めた。




*end*

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