青エク

□わんこ(志摩→出)
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「出雲ちゃん見て見てー犬耳」

「可愛いくないわよ」

「わんわん」

「だから可愛くないわよ」

志摩は何処から拾ったか
妙な色をした(ピンク)犬耳を
付けては甘えた声で私に言う。
そのおかげで周りの人間は
誰一人近寄ろうとしない。
「可愛くない」というのも強がり
でなく心底の声である。その
証拠にまた眉にシワが増える。

「恥ずかしくないの?」

「そう改めて言われると…//」

「馬鹿じゃな…馬鹿だったわね」

視線を横に反らして顔を少し
染める志摩という人間は未だ
に理解に苦しむ相手だ。
距離を置くための対処法とし
理解するのも一つの手だが、
まず関わりを持ちたくない。
見てて苛立ちが込み上げる。
たっぷり皮肉を込めて返して
やる。声色を変えて鼻を鳴らす。

「あんた、それで良いのかしら?
小・中情けないあだ名付けられて
未だにあいつらにデカイ声で
小馬鹿にされてるじゃない?
また言われるんじゃないの、
高校生から格好良い志摩くん?」

負け犬を見るかの如く白い目で
ピンク頭を撫でてやった。
どうだ、これで頭に来るだろ。
こんな性悪女の相手をしていた
俺は馬鹿だったと改心しては、
やがて寄り付かなくなるだろ。
外野のゴリラが「言い返せ」と
キーキー五月蝿い。しめた。
私はしてやったりの顔を志摩
に向ける。
が、

「それ…頭撫でられんのは、
もっと嬉し恥ずかしいなぁ…」

「なっ…?」

さらに顔を染める志摩に
皆は呆れて物を言えなかった。
その先、私はコイツに皮肉を
は言う事はなんてなかった。
むしろ、私が彼の掌で踊ら
された気分なり、また眉に
シワを寄せる事になった。



【おわり】

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