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□真夏日
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最高気温、35度。湿度、60から80だった気が…
なんで日本の夏はこんなに暑いのだろう、アメリカの夏はこんなにじめじめとしていなかった。
俺は日本の夏を恨みながら部活に専念していた。
「(つーかやべえ……暑くて頭いてえや)」
頭の痛みだけではない、吐き気やめまいもする。
「(あーやべえ……)」
「おい、どうした土門」
鬼道さんに話しかけられたような気がする、目だけをそっちに向けると、心配したような顔をしていた。
「おい、土門」
「あー、ごめっもう無理だわ」
練習中にも関わらず、俺は芝生に倒れこんだ。
「おい!土門!!」
鬼道が俺の名前を叫び、何事かと他の皆まで集まってきた。
「(あー、叫ぶなよ、皆に見つかるじゃん…)」
そう言い返す余裕もなく、顔を腕で覆う。
「土門が倒れた!」
「熱中症か?おい、マネージャー!!」
「とりあえず、日陰に……」
皆の言うことも早速頭で理解できなくなり、本格的にヤバくなってきた。
「飛鳥、大丈夫?」
そういって俺を抱き上げたのは、一之瀬だった。
「いち………かず、や」
「うん、俺だよ」
そう言ってにっこりと笑いながら皆の方に振り返った。
「とりあえず、俺土門を日陰に運んでくるわ。秋、悪いんだけど氷でも冷えた飲み物でも何でもいいから冷やすものちょうだい」
「わ、わかったわ」
そう言って秋が荷物の置いてあるところに走っていった。
「皆はとりあえず、練習再開して大丈夫だよ。俺、土門の調子が良くなるまで面倒見てるから」
そういって、ゆっくりと歩き始めた。
「悪いな、一之瀬」
俺は一之瀬の膝に頭を乗せながら、日陰で休まっていた。
「それはいいけどさ、土門、あんまり無理しちゃダメだよ?」
「いやー、ただの暑さのせいかと思って…」
「暑さのせいだからって……そういうのが危ないんだよ」
一之瀬が呆れながら俺の額を叩いた。
「て、いうかさ」
「うん?」
「さっき何気に名前呼びだったよな…」
俺が言うと一之瀬も「あー…」と恥ずかしそうに頬を掻いた。
「なんていうかー……なんとなく?」
「俺も一哉って言っちゃったし……」
なんとなく、恥ずかしくなってきて顔を腕で隠した。
「……これで冷やかされたらお前のせいだからな」
「えー、なんで俺なんだよ」
そう言って、クスクスと2人で笑った。