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□一人暮らしの土門くん
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土門は、一人暮らしだ。
そう俺が知ったのはそう昔ではない。
正直それを知った時はいいな、と思った。
俺の想像だけだが、一人暮らしは誰にも介入されずにのびのびと生活ができる、
なにげにそれが羨ましい。
「ねえ、土門。一人暮らしって楽しい?」
「うーん……いや、そうでもないかも」
意外な発言に俺びっくり。
「なんで?大変なの?」
「大変っていうか………」
寂しい。
それを聞いた瞬間、俺は入院していた頃の自分を思い出した。
親がいない時の心寂しいあの嫌な感覚。
俺は共感してしまった。
「じゃあ、俺ちょくちょく土門の家に遊びに行く」
「それで寂しさを無くしてくれるってか?」
土門が笑いながら言った。
前言撤回、やっぱり同居した方がいいかな。
俺ははっきりとそう思った。