*小説*
□触らぬ神に祟りなし。
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第一印象は決して良くなかった。
それなのに、上條さんを見ると、どうしても構いたくなる。必死過ぎて面白いから。理由はきっと、それだけと思ってた。
夜勤だったので病院で少し仮眠を取り家に帰ろうとしたその時、ドンッと人にぶつかった。
「「すみま…」」
「げっ」
「あ、上條さん!」
げっ。って酷くねぇか?と思いながら上條さんを見ると涙目で……
「え!!そ、そんな痛かったッスか!?」
散々、上條さんをからかったりする癖に泣かれるのは嫌で…
「え?いや、別に…。なんで?」
「いや、だって涙目だし。」
言った途端上條さんは真っ赤になって睨み付けてきた。
「こ、これは花粉症で!!!薬、眠くなるから飲みたくねぇし!!!そ、それで!!!」
か、花粉症…?………なんかさっき慌てた自分が恥ずかしい。
「眠くなり難い薬とかも最近はありますよ。」
「詳しいですね…。」
「ほら、だってお医者さんだし♪今、調べてあげましょうか〜?」
「………じゃあ、少しだけ、野分に荷物届けなきゃなんねぇし…。」
ここで断ってくれたら俺は自分の感情に気がつかなくて済んだのに。