book
□唇にキス
1ページ/1ページ
突然だけど、俺は霧野先輩と付き合っている。理由は分からない。急に霧野先輩が俺に告白をしたから、成り行きでそうなった。しかし、まだ誰にもこの事を言ってはいない。霧野先輩が俺を口止めするからだ。俺は言いたいのに…。公認カップルになりたい。自慢したい。そんな事も出来ないのだ。
なんで皆に言わない理由の検討はついてた。神童先輩のことを気にかけているのだろう。もともと霧野先輩は神童先輩のことが好きだったから。周りもずっとそんなことを言っていた。
しかし、ある日から神童先輩の隣にずっと居たはずの霧野先輩はいなくて、良く俺の隣にいるようになった。
いつもは、一緒に練習して、休憩中話していた…はずだったのに、今日は違った。
「狩屋。」
「何ですか、先輩」
「俺等付き合ってどれ位?」
「…一ヶ月です」
「キス、してないな」
「まだ、いいです」
いきなりキスの話をしてきたので一瞬戸惑った。していいのかな?霧野先輩はもう神童先輩のことは良いの?ずっと疑問に思っていたことを当の本人に俺は聞いてみることにした。
「霧野先輩」
「ん?なんだ」
「神童先輩…のこと良いんですか?」
「どう言うことだ?」
「好きなんじゃないんですか」
「“親友”としてならな。」
「…おっ…俺は、なんなんですか」
「恋人だろ?急にどうしたんだ?」
「いや、いいです。ごめんなさい」
安心した。ちゃんと自分のことを思ってくれている。只、それだけを俺は霧野先輩に聞きたかったのかもしれない。
たぶん、怖かったんだと思う。神童先輩のことを聞くのを恐れていた。自分がいたんだ。
「好きです。先輩」
「俺も……キスしていいか?今猛烈にしたい。」
「きっ決めるなら決めてください!」
「ははっ、わかってるよ」
あの時の甘いキスの味は俺はずっと忘れないだろう。
今も、これからも、ずっと、好きです。
愛してます。
END