ステッラカデュート ブック

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じゃあ、行ってくるね

の一言を残しエジプトを後にしたのはなん時間前ものこと

館の主であるDIOは日が出ている日中は寝ていることが多い
声はかけず、見ずに捨てるであろうと思いながらも置き手紙をしてきた
名残惜しそうにするヴァニラ・アイスを思い出すとなまえは小さく笑った


長い長いフライトも終わり地に足が着いたときは思わず安堵の溜め息が自然と出る
行きと変わらない重さのキャリーバッグを引き日本で用意された自分の家へと帰って行った




休みが終わり久しぶりの登校というのは辛いもので時差ボケもあるなまえにとって苦痛でしかない
欠伸をかみ殺し前を向けば学ランを着た大きな背中が見える
不良と言われようとも真面目に朝から登校するのが何とも面白い
周りに群がる女の子たちを払うように荒げる声が耳に入った
周りから女の子がいなくなったのを見計らい背中に声を掛けた

「おはよ承太郎」

立ち止まることなく後ろを振り返りなまえと視線が合うと承太郎は前に視線を戻した

「…おぉ」

低い声で返事が返ってくる

「ごめんね、やっぱりお土産ないの」

「期待してねェっつったろ」

「そうだったっけ」


適当に返事を返せばやれやれだぜと彼の口癖が返ってくる
歩幅を合わせ隣を歩いてくれる承太郎の優しさになまえは自然と笑顔になった


「……オイ、なまえ」

「ん?」

不意にかけられたら声に承太郎を見上げる

「今日家来い、おふくろが会いたいってうるせえんだ」

「ホリィさんが?じゃあ帰りにケーキ買って行こうかな」

「気ぃつかうな、どうせあいつが買ってきてるだろ」

「そう?でもお土産買えてないからなんか持ってきたいんだけど」

「気ぃつかうなってんだろ」

「うーん……わかった」

渋々頭を縦に振り視線を前に戻す
少し先の方にはもう校舎が見えていた
ただでさえ気乗りしない登校なので、校舎が見えた瞬間余計に行きたくなくなってきたのだ

「…授業…面倒だね、サボろうか」

「てめェどんだけサボってんだよ」

「…承太郎見た目に合わず真面目だから困る」

クスクスと笑えば後頭部に鞄をお見舞いされた

後頭部をさするなまえは心の中で小さな平穏を感じ自然と笑みになっていた



DIOの館では感じることのできない平穏

それになまえは幸せを感じた


小さく笑いながら真っ青な空を見上げると太陽が痛いくらいに輝いている

「今日も平和だね」

その一言に彼はトレードマークの学帽を眼深に被り口端を上げた



Our story goes on...

2012.09.26







日常ターンはもどかしーいお話を書きたいのですがもどかしい感じになってますか?
読んでくださるあなた様がウズウズなっててくれれば主は嬉しいです



 

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