ステッラカデュート ブック

□06
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夜はDIOの世界
電気の光でチカチカと光る街を見下ろし窓に腰掛けるDIOの足元には艶めかしい女が絶命して転がっている
足元に転がる女だけではない部屋にはそこら中に女が倒れていた

ベッドの上、床、踊場に登る階段、ソファの上

首には指が突き刺さった後がありそこからは血を流しながら全ての女が絶命しているのだ
そんな中窓に腰掛けるDIOは指から滴る血をまだ満足そうに見ている

いつもの背中を晒している黒い服は来ておらず上半身の美しい肉体美を惜しげもなく晒していた

「なまえ」

扉の前から感じた気配の名前を呼べば重い音を響かせながら扉が開きそこから顔を出す
一瞬血の臭いに顔をしかめるもいつもの表情に戻した

「……なぁに、パパ」

「人とは貧弱な生き物だとは思わないか。少し痛めつければ簡単に絶命する…貧弱、貧弱貧弱…」

口をニヤつかせ、足元の女の頭を踏みつける
踏みつけたと同時に耳障りな音がした
目を伏せ顔を背ける
粘着質な音を立てながらなまえに近付いてきた
近付く度に血の臭いは強くなる
目の前まで来るとなまえの身長より遙かに高いDIOからの威圧感は半端無い
しかも今は血を吸って機嫌が良いのか怖いぐらいの笑みを浮かべているから余計にだ

威圧感に俯くなまえにDIOは顔をしかめつまらなさそうに呟いた


「"お前は俺"だと言うのに…」

それだけ呟けばDIOはなまえを部屋の外に押し出し扉を閉めた



部屋を出されてしまったなまえは図書室に向かっていた
ただ鼻に残った血の臭いが消えないのが気になるのか時折顔をしかめている
図書室に向けほの暗い廊下を歩いていたその時背後から殺気を感じ思わずその場から飛び退いた

さっき居た場所には鉄で出来た剣が深々と刺さっているではないか

「何故…何故あんたみたいな小娘がDIO様に名前を呼ばれ尚且つ話し掛けてもらえるの?!私は許可がないと御傍にさえ寄れはしないのに!」

甲高い女の嫉妬に狂った声が廊下に響けばまたかとなまえは溜め息を付いた
どうやらDIOの食料用に館に迎えた女が目を盗んで部屋を抜け出してきたらしい
しかも先ほどDIOに部屋に呼ばれた所を運悪く見られ嫉妬の対象にされてしまったようだ


「私はあの人の道具だからよ。貴女とは違う」

DIOの手足となり死ねる道具か、悪の帝王の腹を満たし死ねる食料か
どちらとも言い難いが、先ほどから騒ぎ立ている女はなまえが余程気に入らないらしい
闇からゆらりと姿を現し床に突き刺さった剣を引き抜く姿は恐ろしいと言う言葉が本当に似合う
鉄の重たい剣は彼女には扱いきれていないようでヨタヨタとしながらなまえとの距離を詰めてくる

「止めた方がいいわ、今こんな所で死ぬより今部屋に戻った方が幸せな死に方が出来ると思うんだけど」

「うるさいのよ!この乳臭い小娘がっ」

女の細い腕で目一杯振り上げられた剣
自身のスタンド、リナッシェレヴィータを呼び出し目の前の女に怪我をさせないよう防御の方をとる

だが一向に振り下ろされる気配のない剣になまえは何かを悟った


「……パパ」

「さっさと殺してしまえば良いものを…何を躊躇う」

女の後ろの闇から姿を現すDIO
今DIOのスタンド、ザ・ワールドによって止められた世界で動いているのはDIOとなまえだけだ

「殺すなんて…出来ない…!」

そう言うとDIOはつまらないと顔を歪ませる
途端に時は動き出しなまえの目の前に剣が振り下ろされた


「……ッ!」

咄嗟に避け怪我は免れたが服が少し切れた
女の後ろでは柱に背を預け愉快そうにこちらを見ているDIOがいる
女は怒りや嫉妬のせいでその対象にしているなまえしか目に入っていないようだ


「ほんとに…ッ…もう!」

日本の学校でも家でも何故こう女の嫉妬の対象にされなくては行けないのか
顔を歪ませ舌打ちをした



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