ステッラカデュート ブック

□05
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大きなキャリーケースを引き大きな扉を押し開ける

「ただいま」

広い玄関に声が響く
待ちかまえていたように執事であるテレンスが深々と頭を下げ壁際にはヴァニラ・アイスが床に膝を付きなまえの帰りを待っていた

「お帰りなさいませ」

テレンスとヴァニラ・アイスの声が揃う
手に持っていたキャリーケースをヴァニラ・アイスに預ける
なまえを筆頭にテレンス、ヴァニラ・アイスと続き長い廊下を歩く
広間を抜け階段に足を掛けた時上から声を掛けられた
テレンスとヴァニラ・アイスは素早く身を引き頭を垂れた

「帰ったのか…」

「今し方」

「部屋に来い、話がある」

それだけを言い渡し男は暗闇に消える


「アイス部屋に荷物をお願い」

はい、と頭を下げるヴァニラ・アイスとテレンスに背を向け長い階段を上がっていった
暗く長い階段を上がり大きな扉の前で立ち止まる
室内にいる者の存在感を扉を隔てても肌にヒシヒシと感じるのだ

大きく重たい扉を開け放つ
この館の主DIOの天敵である日の光を遮るために引かれた重たいカーテンがより一層室内に闇を与えていた

部屋を見渡しこの部屋の主を探す
上品な天蓋付きのベッドの上でベッドボードに背を預けている
どうやら本を読んでいるようだ
ベッドに近付き柔らかい上質な布団の縁に腰を降ろす

「話しって?」

「…近頃何者かに見られている感触がある」

「星の人達?」

「恐らくな。今調べさせている」

「そう」

会話はそこで終わり本をめくる音だけが部屋に響いた



短い沈黙を破ったのはなまえだ

「ねえパパ」

返事はない




「私、人間になりたい」

「…何を言うかと思ったら…下らない」

そう言い放ち目線だけをなまえに向けた
背中にDIOの視線を感じなまえは寂しそうに目を伏せ項垂れた



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