君色
□…第3話…
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『…後ろを振り返ると…黒い長い髪の女が…』
7月下旬、蝉が鳴き始め今年も暑い夏がやってきた。
オレ、夜神孝貴は只今、夏の定番であるホラー番組を、オレの幼なじみである昼岡雛子とその妹の千夜とオレの弟の真宏、オレを含めた計四人で見ている。
「雛姉ぇ…、違うの見ようよぉ」
泣きそうな声を出しながら、千夜が雛子の服の袖を引っ張る。
どうやら千夜はホラーがダメらしく、ずっとこの調子だ。
「そんなに怖いんだったら見なければいいでしょ」
雛子は呆れながら千夜を見て言った。
「だって…」
「千夜大丈夫だよ。なんなら、オレのところに来てもいいよ」
「それは遠慮しておく」
オレの弟の真宏は相変わらず拒まれていた。
まぁ、千夜はオレの見た限り嫌々拒んでいる訳では無さそうだ。
「千夜はダメね〜、こんなので怖がるなんて」
「お前ぇの反応の方が変なんだよ」
雛子の反応を見ていたオレはため息混じりに言う。