君色
□…第2話…
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6月中旬、空は薄暗く湿った空気が、辺りを漂う。
「あ〜あ、最近雨ばっかでつまんないの」
学校の教室で雲に覆われた空を窓越しに見ながら、僕の双子の兄である昼岡空太が呟く。
「しょうがないよ、本格的に梅雨入りしてるんだから」
「そうは言ってもさぁ…」
空太は頬を少し膨らませながら口を尖らせた。
すると突然、空太が声を上げた。
「あ!海太、今日傘持ってきた!?」
「持ってきたけど?空太…持ってきてないの?」
僕が空太に疑いの目を向けると、苦笑いをしながら頷く。
はぁ…またか。
僕は内心でため息をつく。
「今朝、千夜ちゃんに持っていけって言われて持たされたよね?」
「持たされたけど、玄関に置いてきちゃった」
「はぁ、なんで空太はいつもそうなんだよ…」
なんか、こんなようなことを日常茶飯事で繰り返してる気がする。