君色
□…第1話…
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「いってきまーす」
桜の花びらが舞う季節、私、昼岡千夜は中学生になり二年目の春をむかえた。
「ちよちゃん、いってらっしゃ〜い!」
「は〜い」
私は妹や弟たちに見送られて家を出た。
春になり、暖かくなったが、まだ少し肌寒い。
「もう二年生かぁ…はやいなぁ…」
そうぶつぶつと、呟きながら、自分の家の隣の家の玄関の前に立つ。
玄関のチャイムを鳴らし、数十秒待つと、中からバタバタと音がして玄関の扉が開く。
「おはよ、真宏」
「おはよー。今日、早くない?」
中から出てきたのは、まだ寝間着らしい姿の私の幼なじみの夜神真宏だった。
「そう?新学期だから、早めに行こうかと」
「まだ早いよ。オレもまだ着替えてないし、寒いから中で待っててよ」
「うん」
私は真宏に促されるまま、玄関を上がり、リビングに向かった。
「おじゃましまーす」