あいまいもこ
□こうしらんしょう
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噎せ返るような生臭い、鉄に似た臭い。
壁と床を汚しているこの液体は何だろう?
分からない…分かりたくない…。
―べちゃり、ゴトン
そんな音を立てて“ソレ”は私の足元へと落ちてきた。
これは嘘、これは夢…現実なんかじゃないんだ。
そう思った…思い込みたかった。
自分が泣いているのか、怒っているのか、笑っているのか…
どんな顔をしているのか、もう分からない。
死が満ちた部屋の中、ソイツらの声が生々しく響く。
私は日常を失った。
私は力を手にした。
…血の赤だけが異様に鮮やかだった。
嚆矢濫觴(物事の始まり、起こり)
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