Tmorrow will take care of itself

□Who is she?
1ページ/2ページ

彼がその少女を初めて見たのは、裏路地でだった。
その場所で、偶然男5人に囲まれている黒いパーカを着た人物を目にした。フードを深く被っているため顔は見えないが、スカートを穿いていることから、女性だと判断できた。
(助けねえとヤベェか…)
めんどくせえ、と呟きながらも、男達の方へと歩き出そうとした時だった。

―ドンッ

痛そうな音を立てて、男の1人が地面に叩きつけられていた。少女の仕業らしい。
更に他の男が仕掛けてきた攻撃も軽くかわして、そいつも倒した。
「君達はどうする?私は別にどうでもいいけど。」
凛とした声が静かにそう訊ねる。平坦な口調だった。
「ビビるな!!同時に行けば…」
「あ、ああ!行くぞ!!」
残った3人が同時に少女へと殴りかかるが、難なく全てかわされた。そして、無駄のない動きでその男たちも叩き伏せられてしまった。
「雑魚にかまってる暇はないんだよ。」
男達が気を失っているのを確かめた少女は、そう呟いて被っていたフードをとった。
ふわり、と艶のある長い黒髪が広がる。色白で美しい少女だった。
だが、彼の目を惹き付けたのはそこではなかった。
彼を惹き付けたもの、それは…少女の紫の瞳だった。
(似てる…)
自分と同じだと、何故かそう感じた。
少女はこちらには気付かず、ヘッドホンをはめると裏路地の奥へと歩いて行ってしまった。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ