恋に落ちた海賊王

□誰にも言えない嘘がある
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「お前に会わせたい奴が居るんだ。会ってくれないか?」

「はい」


船長はシンさんに指示して小さな島へ船を停めさせた。
何処となくヤマトに似ている、自然に囲まれた島だった。



誰にも言えない嘘がある



船長は皆に買い出しの指示をして、私の手を引き市場を抜けて森へと入って行く。
森を進むと小さな家が見えて来た。
家の前には8歳くらいになる2人の子供ーーー
子供達は私達に気が付き、手を振りながら駆け寄って来た。


「「パパ!」」

「え、パパ…?」

「レグルス、スピカ、元気だったか?」

「「うん!」」

「ママは、元気か?」

「「待ってて、呼んで来るよ」」


レグルス、スピカと船長に呼ばれた子供達はママ!と叫ぶ様に呼びながら家の中へ駆けて行った。

状況が全く理解出来ないーーー

ダークブラウンの髪色にタレ目な瞳…
双子らしき子供達に″パパ″と呼ばれる恋人は、隠し子の一人や二人居ても可笑しくない人だけれど、付き合い始めて既に一年は経つのに今更そんな告白するだろうか。


「あぁ、来てくれたのね。2年振りかしら」

「おう久しぶりだな、カンナ」

「貴方が女の子…女性を連れて来るなんて。
いよいよ落ち着く気になったのね」


家から出て来たカンナと言う女性は私に優しく微笑むと手を差し出して来た。
ブロンズの髪に碧い瞳…女の私でもドキッとする、とても美しいその人は年齢は船長と然程変わらないかも知れない。
私はカンナさんの手を握り、握手をした。


「初めまして、名前です。1年程前からシリウスに乗っています」

「そして彼の恋人になったのね」

「そうだぞ、名前。差し当たり無い挨拶なんかしてないで堂々と俺の恋人だと…」

「いや…レグルス君とスピカちゃんが余りに船長に似ているもので…」

「貴方、彼女に私達の事を言って無かったの?」

「言う為に連れてきたんだ」

「そう、立ち話も何だし家に入りましょう」


私と船長はカンナさんに促され家の中へと入る。
家に入るとレグルス君とスピカちゃんが船長にしがみつき遊んでくれとせがんでいる。


「「パパ、遊んで〜」」

「ママ達との話が終わったらな」

「「じゃあ航海のお話してぇ〜」」

「ふふ、名前さんには私が話をするから、遊んであげてくれない?」


一連の流れは、カンナさん達と船長が本当に家族だと見せ付けられている様で、胸が痛んだ。

痛むと同時に私の中でいくつかの点が1つになり、線となり、1つの答えが導き出されてハッとした。

船長が子供達を膝に抱えいつもの様に笑いながらソファーで旅の話を始める。
私とカンナさんはテーブルに向かい合い座るとカンナさんが口を開いた。


「名前さんって呼んでいい?」

「はい、呼び捨てで構いません。私もカンナさんと呼んでいいですか?」

「勿論よ。名前さんはリュウガの話は聞いた…?」

「船長の弟のリュウガさんの話ですよね」

「ええ、私がまだ帝国の姫と呼ばれて居た昔の話。城の宝を盗みに来た海賊王と恋に落ちたのーーー」


カンナさんは、どこか慈しむ様に船長と二人の子供達を眺め小さく息を吐いた。


「察しの通り、あの子達は本物のリュウガの子…」

「…」

「あの子達を身篭った事に気が付いた時には…父も母も″城の者には病だと云う事にして、密かに赤子を殺せ″と私に迫ったわ」



ソレハ、罪トヨブニハアマリニ甘ク
罰トヨブニハ残酷ナ愛ノカタチ



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