恋に落ちた海賊王

□パラドラック
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ねぇ、ナギ…

この気持ちが恋だと解るまで、あとどれくらいの時間が必要かなんて、あの時の私達は思いもしなかったよね。

だけど、今なら言えるよ。
ナギ、大好き。



パラドックス



シリウス号が巨大イカに襲われて海に投げ出された私を追って海に飛び込んだナギさん。

浜に打ち上げられて襲った不思議な感情。


「お前が頑張ってんのは知ってる」


ナギさんの大きな掌に頭を撫でられて嬉しい。


「何かあったら、これを吹け」


ナギさんの不器用で解りにくい優しさ。


「アホか…」


口は悪いのに、照れてるナギさんは可愛い。


「…じゃあ、もう泣き止め」


気が付いたら不思議とナギさんの存在が私を安心感指せてくれている。
優しい体温とか、その大きな掌とか…

ナギさんの事、もっと知りたいって…

神妙な顔に揺らいだ悲しい瞳は何を想っているんだろう。
隣に居る筈なのに、ナギさんが凄く遠く感じた。

1、2、3、4、5…
数を数えるみたいに、ナギさんの過去が一つ、また一つ…
その闇に飲まれそうな悲しみに触れる度に私の心は張り裂けそうだった。

それと同時に、過去を話してくれる事が嬉しかった。
「私は応援しているよ」


宴を抜けて甲板でナギさんにおでこにキスをされた所をソウシさんに見られた。
そのソウシさんの言葉に私の中に存在していたパズルのピースの様にバラバラだった感情が一つの答えになった。

パラドラック…
答えなんてない感情だと、名前も付けられない感情だと思っていたのに。


「私の気持ちも考えてよ!ナギさんがいなくなったら、私はどうす ればいいの!?」

「名前…」

「ナギさんは、海賊でしょ!」

「…だからどうした」

「海賊は盗むものでしょ!だったら、私1人盗むくらい簡単でしょ !?」



私の心は盗んだくせに…
ナギさんが居ないと、息すら出来ないくらいに鷲掴みにして離さないくらいに…

ナギさんが居れば何にも要らない。

ナギさんと一緒にシリウス号に居たい。

ーーー
――



「ナーギッ」

「あん、どうした?」

「えへへ、好きだよ」


あのパズルが完成して、ナギとの想いも重なって、私のパズルは日に日にピースが増え続けている。
私とナギとの冒険が続く限り…うんん、私とナギの人生が続く限り、終わらない。

ナギの隣で、ずっと生きたい。
最期の日まで側に居て?
「名前」


不意にナギに抱き締められてナギの体温に包まれる。
ナギの鼓動が聞こえてきて、それだけなのに愛おしくて涙が溢れそうになる。


「オレは言葉が足りねぇけど…」


ナギが腕に力を込めて、私達の距離は更に近くなる。
ちゅっ、と優しいキスが唇に落ちてきて、ナギと視線が絡まった。ナギの鼓動が速まる。


「この心音で伝わるって信じてる」




end…
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