Novel
□恋の味
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気づかなきゃ良かった
叶わない恋なんて
でも後悔はしてないよ
君と出会えたことを後悔するなんて死んでもありえないと思う
―――初恋の味―…
「あれ、沖田くんじゃん。またサボりか?ったく税金泥棒が…」
声をかけるとミルクティーのような髪の色をした少年はパッと振り返って大きな紅い色の瞳をこちらに向けた。
「旦那ァサボりじゃありやせんよ。休憩でさァ…でも土方さんには言わねぇでくだせェ」
「やっぱりサボりじゃん」
と言って苦笑してみたものの、沖田くんの口から憎き奴の名前を出されて、内心すこし苛立つ。
「旦那こそ今日も仕事ねぇんですかィ?」
「んー…まあね」
しばらくの間沈黙が続いた。
紅い瞳をした少年は、さっきまでしていた変なアイマスクを右手に持っている。
「いい天気でさァ」
「沖田くん、今曇りだよ?」
目と頭見てもらった方がいいんじゃない?なんてふざけて言ってみる。
「んー…その方がいいかもしれやせんね」
なんて沖田くんが返す。これには少しビックリ。すると沖田くんは立ち上がって、失礼しやす。と俺に向かってぺこりとお辞儀する。
その瞳はどこか寂しげで、妙に違和感を覚えた。