Novel
□君と僕
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穏やかな午後の風が心地いい。
だが屯所内は大混乱中だった。
「オい誰でィ!俺のアイス食べたの!!いま名乗りあげれば4分の3殺しで許してやらァ」
屯所に響くのは沖田の声。
今日のおやつのアイスを何者かに食べられて激怒している様子の沖田を尻目に、土方は深いため息をついた。
「うるせぇぞ総悟!アイスくらいでそんなにギャーギャー騒ぐな!!」
その声に皆ハッとし、顔をいっせいにそちらに向けた。と同時に皆が安堵の表情を浮かべる。
(これで沖田さんから解放される…)
と思った瞬間、沖田が声を上げた。
「あっ土方さん!ちょっと聞いてくだせェ!」
「もう話の内容はほとんどわかってるんだ」
「わかってねぇでさァ!いいから人の話聞けやコノヤロー!」
一瞬イラッときたが、沖田の目は真剣そのものだったので、今回はひとまず聞くことにする土方。
「いいですかィ?俺のアイスは、俺の食べかけで、つまり俺の唇がおしつけられて、んで唾液もついてて、それを食われちまったってことはですね…その…、つまり…!」
間接…キス、と言い終えたと同時に沖田の顔は真っ赤になり、土方の方は真っ青になった。