短篇

□往く当てのない箒星
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ストバスにて
黒子、青峰、黄瀬、緑間、高尾、火神
(高→緑←黒、緑→黄→青→火→黒)
黒子と高尾がただ話しているお話
シリアス








これは、不毛な恋のお話。





【往く当てのない箒星】



雪が降らなくても、寒いものは寒い。
WCが終わり、一段落したばかりのこの季節の空気は冬本番と謂わんばかりに冷たい。
しかし、そんな寒空の下でもこのメンバーが集まってすることは決まっていた。

(まぁ、ストバスに行きましょうって声掛けたんですから当然ですが)

いくらウォーミングアップを念入りに行ったからといって、この季節に外でというのはいかがなものかと思いつつ、コートから抜けてきた黒子は上着を着て荷物の中から飲み物が入ったペットボトルを取り出した。そして、キャップを回しながらベンチに腰を下ろすとコートに視線を戻す。

青峰や黄瀬、緑間、火神の輪から高尾が抜け出してこちらに向かってくる。
残りの4人は2対2に分かれてバスケを続けるらしい。チーム分けに少々揉めているのが離れた所から見ていてもわかった。黄瀬が騒いでいる。


「あいつら元気だねー」

俺も離脱ーとタオルと飲み物を持った高尾が黒子の隣に腰掛けた。
トンッと僅かの振動。
それだけのはずなのに、黒子は周囲には分からない程度に身を硬くした。
それを悟られまいと黒子は相槌をうつ。


「高尾くんもまだ元気そうですが、戻らないんですか?」
「あの中に?無理無理ー」


高尾はいつも通り軽い調子で会話をしているだけなのに、理由はわからないが嫌な予感がする。
ちりちりと米神あたりを焦がすような、まるで試合中のような緊張感。
自分の心臓が脈打つ音が耳元で聞こえる。

黒子は落ち着こうと手の中にあるペットボトルを口元に持っていく。コクリと嚥下するとひんやりとしたスポーツドリンクが喉を通っていった。その冷たさが胸にまで届いて、心臓を鎮めていく。
ほっとして、小さく息を吐いた。
挙動不審に映ってないだろうか。視線だけで高尾の様子を窺うと、それに気がついた高尾がニコリとこちらを向いた。



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