悲恋歌―あの空の彼方に―

□帰るべき場所
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同年 七月十九日

後に、禁門の変(蛤御門の変)と呼ばれる事件が起こる

この日は、舞華は屯所で待機していた
「――舞華ちゃん」
「沖田さん!
体調はよろしいんですか!?」
舞華が中庭で洗濯物を乾していると、沖田が通り掛かった

「まったく、近藤さんといい誰かさんといい……
皆過保護なんだよね
今日だっておいてきぼりだし」
「皆さんは沖田さんの体調を心配されているんです」

沖田は池田屋事件後、咳がひどく、体調不良の日が続いていた

沖田の病気が何であるかを知っている舞華にとって、皆に隠しながら生活をするのは、辛かった

――肺結核……
この時代は、労咳と呼ばれる病気だっけ
私がいた時代は、結核は治せる病気だ
でも、今はまだ……

「舞華ちゃん?
どうしたの?」

「えっ、いえ
なんでもないです」
考えに没頭するあまり、手が止まっていたらしい

「あーあ
暇つぶしに、舞華ちゃん付き合ってよ」
「え?良いですけど、何をするんですか?」
「うん、じゃあ、手合わせしてもらおうかな」

……え?

「て、手合わせですか!?」
いやいやいやいや!
沖田さんって近藤さんの道場にいた時から群を抜いて強いんですよね!?!?

「うん、そうだけど」


……そのあと再三断ったのですが、回避不可能でした。


あれ?作文?
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