悲恋歌―あの空の彼方に―
□宵闇の別離
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去っていく平助の姿を見て、舞華は何が起きたのかは理解出来なかった
ただ、永倉と原田が、平助が逃げたのを見逃した
それだけはわかる
平助が、どんな気持ちで去って行ったのかも
「――あっちに一人逃げたぞ!」
平助が逃げた方向を指差し、新撰組隊士が追いかけようとしていた
確かあの人は、三浦さん、だったと思う
切っ先を平助に向けている
舞華の中で、時間が流れるのが遅くなったような気がした
――平助君に手を出したら、許さない!
薙刀を構え、駆け出す
その時の舞華は、疾風のようだった
強く強く、平助が生きる事を願う
三浦はまだ後ろから迫る舞華に気付いていない
――ガッ
夜の町に一つ、鈍い音が響いた