悲恋歌―あの空の彼方に―

□帰るべき場所
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同年 七月

「……ようやくお上も我々の働きを認めて下さったのだな!」
広間では、近藤が嬉しそうに頷いていた

会津藩から、正式に新撰組を会津藩の支配下に置くという達しがあったのだ

世間では長州藩の尊王派の浪士達が攘夷活動を活発化させている
新撰組による京都の警備も厳重なものになっていた


「――なあ舞華」
舞華が振り返ると、平助が俯いていた
何か、あったのだろうか?
「どうしたの?」


「お前は、いつになったら元の世界に帰れるのかなって……」


こちらの生活に慣れてしまって忘れていた
そうだ、私はこの時代の人間じゃない

でも、あまりにここが居心地が良すぎて――


離れる日が来るのが、怖かった


「いや!お前に帰って欲しい訳じゃねえんだけど!
……居なくなるのは、淋しいんだけどな
舞華が元の世界に帰れないのを気にしてるんじゃねえのかなって思っただけだ」

そっか、平助君は心配してくれてたんだ

「ありがとう
――私は、元の時代に帰れなくても、新撰組で皆と過ごすのが凄く楽しい!
だから、大丈夫だよ」
「……そっか
じゃあ、良かった!」


――今は、どうかこのままで居させてください

皆の行く先を見届けさせてください


死なせたくないの、皆を


だから……
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