悲恋歌―あの空の彼方に―

□迫り寄る危険
1ページ/7ページ

舞華がこの世界に来て早一ヶ月が経とうとしていた

「平助くん、甘味を買ってきたんだけど
一緒に食べない?」
「ああ、今調度暇だったんだよな!」
襖を開けると、平助くんが嬉しそうに笑っている
どうやら、昼寝をしていたらしい

縁側に出て、一緒に団子を頬張った
「うめぇ!」
「うん、美味しいね」

「舞華ちゃんから貰ったからよりおいしい!」

「「え!?」」
突然、舞華でも平助でもない声があがる
――この声は……
「総司っ!?」
「沖田さん!!」
「平助、舞華ちゃん、おはよ」
声のした方を見ると、やはり、沖田がにっこり笑って立っていた
「沖田さんもいかがですか?」
立ち話もなんなので団子を勧める
沖田は舞華の隣に腰をおろした
「ふうん……平助、独り占めは良くないんじゃない?」
「なっ!そんなんじゃねえよっ」
意味深に舞華の方を見る

「じゃあ、僕が貰ってもいいよね」

そう言って舞華の方に手を伸ばし――

「駄目だっ!」

平助が何かに耐え切れなくなって叫んだ
……が

「平助、僕は団子が欲しいって言ったんだけど」

そして沖田は再びにっこり微笑む
「………!」
平助は口をぱくぱくさせた

「だ、団子はいい
だけど駄目だっ!」

「へ、平助くん?」
本格的におかしい
何で沖田さんと平助くんが団子の取り合いをしてるの?
「舞華ちゃん、平助が変になったから近づかない方がいいよ?」
そう言って、舞華を庇うように抱き寄せる
「沖田さんっ」
恥ずかしい
けっこう恥ずかしい!
優しいからこうして下さってるんだろうけど!
「総司ぃっ!!!!」
「え?だっていいんでしょ?」

……なんか、本格的に意味不明になってきちゃった
相変わらず沖田さんは抱きしめてるし

「一通り遊んだし、僕はこれで戻ろうかな」
「おう、じゃあなー!」
「あ、そうだ、舞華ちゃん」
沖田に手招きをされたので行ってみる
何だろう?
「舞華ちゃん、よかったね」
「え?何がですか?」
「……分かってないならいいや
教えてあげない」

……?
じゃあね、と手をひらひらさせて沖田は去って行った


……何だったの!?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ