悲恋歌―あの空の彼方に―

□始まりの記憶
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――時は平成
明治維新から、約150年もの歳月が過ぎた現在、京都
私こと、舞華は惰眠を貪っていた

「――…舞華!」
……うるさいなぁ、もう
「いくら俺の授業がつまらないからといって幸せそうに寝るなっ!」
「痛いっ!」
起きようとしたところを叩かれる
「……今起きようとしてたのに…」
「何か言ったか?」
「いえ、何でも」
すごい形相で睨まれたのでテキトーにごまかし、日本史の教科書を開く

――面白い事ないかな……
例えば、時代を遡って幕末に行ったり
パラパラと教科書をめくり、幕末を開く
……大政奉還、王政復古の大号令、禁門の変、……新撰組?
そういえば、クラスの女の子達が新撰組がどうたらって騒いでた気がする
新撰組、か

 近藤勇が局長、土方歳三が副長となって京都の治安維持にあたる
池田屋事件で名をあげるが、
鳥羽・伏見の戦いに破れ、以後消滅、隊員は四散
局長の近藤勇は捕らえられて斬罪に処せられた
そうして、新撰組の時代は終わる

「……おい。
物思いにふけっている所を悪いんだが、今は明治維新だぞ」
「はいはい」
「返事は一度でいい」
……うるさいなぁ、もう
つまらない。今、この時が
いいや、寝よう……

そうして意識は遠退いていく――


この時に私は気付かなかった

学校の校庭に
季節はずれの桜が咲き始めていたことに
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