悲恋歌―あの空の彼方に―

□別れた道
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「考えたこともなかったな……
だって、平助君が真っ先に事件に飛び付いていって、
それから原田さんや永倉さん、沖田さんが事を大きくするっていうのが日常だもん」

「何だよ、オレがいつも面倒事起こしてるみたいじゃんか」
実際そうじゃない?と言いかけたが、よくよく考えるとたまに原田さんと永倉さんが発端の時もある
……まあ、結局土方さんに怒られるのは平助なのだが

「平助君は、戦いにも真っ先に飛び込んで行くよね
あれって、すごい事だと思うな」

「そ、そうか?」

「うん
私だったらきっと、竦んじゃう……
危険な所にでも、自分から一歩踏み込む勇気はすごいと思うし
……ちょっと、憧れちゃうかな」

「舞華…?」

「私は、まだ実戦で戦うには弱いし、人を斬る覚悟もない
平助君や皆に守ってもらってばかりで、雑用しかできないから……
だからこそ、平助君の、その誰にも真似できない強さはすごいと思うの」

「オレの、強さ……」

「答えになってないけど……私は、皆揃ってこその新撰組だと思う
例え離れ離れになっても、大切な仲間だよ」

――それは、一番皆に言いたかったこと
これから先、時代の荒波に飲み込まれる事がいくらでもあるだろう
だからこそ、皆にどこかで生きていて欲しい
舞華は、言葉にそんな意味をこめた

平助の表情が緩む

そこにはもう、先程のような暗い色は微塵も感じられなかった
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