悲恋歌―あの空の彼方に―
□始まりの記憶
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連れていかれたのは、四畳くらいの部屋だった
「悪いけど、ここでおとなしくしててね」
隊士の一人がそう告げて部屋を出ていく
……やっぱり、ここは幕末なんだ……
この景色が、普通なんだ
この時代では舞華の常識は通用しない
自分の身は、自分で守れなきゃいけない
でも、何故タイムスリップしてしまったのだろうか
現在からいう“未来”の記憶は、この世界にとっては邪魔にしかならないだろう
この記憶一つで、いくらでも未来が変わるからだ
――何か、目的があるの……?
しかし、舞華はいくら考えてもこれといった答えは見つからなかった