Graces
□かんちがい
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「…なまえ、痛いのは分かるが少し我慢してくれないか?」
に、兄さん…?
なぜなまえの部屋に…?
なまえのいる部屋の前で聞き耳を立てるヒューバート。
横でキャーキャー言うパスカルに静かにするよう注意するも、彼女は笑いを堪え切れずにいた。
『あ…ごめん』
「いや、気にするな。俺も悪かった」
『我慢するから、続き…お願い…』
続き!?
続きって、何の続きなんですか!?
「ぶふっ…じゃ!私はこの辺で★」
ヒューバートの肩をポンポンと叩くと、パスカルは去っていった。
「わかった…また痛むようだったら言うんだぞ」
『うん』
「待ってください!!兄さん!なまえ!」
しまった…!!
思わず扉を開けてしまった…
アスベルとなまえは驚いた顔でヒューバートの方を向いた。
「ヒューバート!?いきなりどうしたんだ?」
『ヒュー…??』
「兄さん、なまえ、ここで何して……え?」
ヒューバートが2人に目を向ける。
すると…アスベルの手には応急措置の薬が握られ、なまえはケガをしているのか右腕を差し出していた。
『ヒュー…あのね、外でちょっとケガしちゃって…』
「シェリアが丁度ソフィと一緒に買い出しに行っててな…代わりに俺がなまえに手当てしてたんだ」
2人の説明を聞いたヒューバートは深いため息をついた。
「……そういう事ですか」
『う、うん…』
「…よかった」
『ヒュー??』
ヒューバートがなまえの頭をそっと撫でると、彼女の頬は簡単に赤く染まった。
かんちがい
"なぁ、ヒューバート…"
"何です?兄さん"
その…俺と代わるか?手当て"
"……心臓が持たないよぉ"
END