Short

□Good Morning..?
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「..嘘だろ。」


物置部屋の片隅のような
小さな捜査本部のドアを開けた菊田は、
目の前の光景を見て立ち尽くした。

そこにはインスタント麺や菓子パンのくずが散らかっていて、
目線を奥に向けると――


「‥‥‥‥」


普段は滅多に所轄に泊まらない玲子が、
机に突っ伏して寝ていた。

菊田は、無防備な寝顔に生唾を飲み込んだが、慌てて頭を振り思考を戻す。

とりあえず、玲子が風邪を引かないよう、自分が着ていたコートを脱いで玲子の肩にかけて、
机の上に散らかっているごみを片付け始めた。

「..ん、きく‥た」

ふいに玲子が自分を呼ぶ声が聞こえ、振り返る菊田。

「‥‥‥――‥」

音を立ててしまったせいで玲子を起こしてしまったかという菊田の心配は杞憂に終わったが、
菊田には新たな問題が発生した。

(「寝言で俺の名前を呼ぶなんて、どんな夢を見ているんだ?」)


菊田は片付けを一段落させると、
玲子の隣に腰掛け、寝顔を覗き込んだ。

長い睫毛、綺麗な唇、整った顔立ち。

どこを取っても非の打ち所のない恋人の寝顔を見て、
菊田は我慢が出来なくなった。


―チュッ‥‥


小さなリップ音を響かせて、
玲子の唇に自分の唇を重ねた。

それでも起きない玲子に気が大きくなった菊田は、
さらに深い口づけを繰り返す。


「んんっ‥‥き、きくたっ!?」


目を覚ました玲子には最高の笑顔で。

「おはようございます!」




→オマケ


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