ポケモン不思議のダンジョン・ギルド対決!!〜プクリンギルドVSアバゴーラギルド〜
□夕暮れのカフェ
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その日の夕方――。
「参ったなあ……」
リオンは頭を抱えていた。
ポケダンズは現在、“パッチールのカフェ”に来ている。
パッチールのカフェは、“パッチール”というポケモンが店主を務めるジュースバーである。リンゴ、オレンの実、グミ、タウリン、リゾチウム……普段ならそのまま食べたり飲んだりするものを、カフェの店主が踊(おど)りながらドリンクに変えるのだ。味は文句なしと言える程のおいしさで、時には本人もいつ出るのか分からない“幻の一品”ができることもあるという。他にも普通のカフェにはない様々な要素を持ち、今ではトレジャータウン一人気の店でもある。
そんなほぼ毎日通うお気に入りのカフェのドリンクスタンドのカウンターで、リオンは手のひらにある二つのグミとにらめっこをしていた。
(今ここにあるのは“黒いグミ”と“紫グミ”。――結局“黄色いグミ”を手に入れることができなかったな……)
店主が来るまで、ずっとピカリの機嫌を良くする方法を考えていた。
(にしても、なんで昼間より“あっち”のことで怒るんだ?)
リオンは頬杖(ほおづえ)をついて納得がいかない顔をする。
トレジャータウンに向かう間、彼はずっと考え事をしながら歩いていた。そのせいで、話しかけているパートナーの声に気が付かなかった。すぐに謝ると、彼女は何を考えていたのかと聞いてきた。別に大したことではないと答えると、何が気に入らなかったのか、
「あっそ!」
と、いかにも不機嫌であることが伝わる声で返し、その後は仕事の時以外あまり口を聞かなくなってしまったのだ。理由を何度も聞いても、
「自分で考えてよ! 波導なしで」
としか言わなかった。
考えても怒った理由が分からず、本人の口から聞くしかないと思った彼は、今日の依頼で彼女の好物を探すことにした。
この日の依頼は、“海のリゾート”と呼ばれるダンジョンを探検し、依頼者のイーブイの父・ブースターを救助することだった。
昨日、ブースターが息子に“海のリゾート”に行くことを伝え家を出た後、夕方になっても帰って来なかったのだ。心配したイーブイは急いでパッチールのカフェに向かい、父親を探してくれる探検隊を探しにいった。そして運良く、丁度カフェで休んでいたポケダンズにお願いしたのだ。困っているポケモンを放っておけない二匹は、すぐに依頼を引き受けた。
そして今日、イッシュのポケモン達の歓迎を終えた後、一度ケンカのことを忘れ、ブースターの救出に出かけた。
ブースターはダンジョンの六階で見つかり、運悪くモンスターハウスにかかってしまい、大ダメージを受けて動けなくなっていたのだ。
こうしてブースターを救ったポケダンズは、イーブイからお礼の木の実をもらって依頼を完了した。
しかし、探検中にグミは手にある二つしか見つからず、ピカリの好物である“黄色いグミ”は見つけられなかった。
(……まあ、多分どっちにしろピカリは「その手に乗らない」とか言うだろうし……)
そろそろ友人に今日のことを話しまくってスッキリしている頃だろう、とリオンは考えた。
「リオンさん、遅くなってすみません!」
額に赤の丸いぶちがあるパンダ似のポケモンが、よろよろとした普段の足取りをさらによろつかせてリオンの向かい側に立った。
彼がパッチールのカフェの店主、パッチールである。
「ああ、大丈夫だパッチール。今注文を――」
言いながらグミを渡そうとしたその時。
「はい! “黄色いグミのジュース”と“だいだいグミのジュース”です」
と、カウンターの上に二匹の好きなグミのジュースが置かれた。
「えっ?」
リオンは思わずきょとんとする。
「パッチール。俺は注文どころかグミすら渡してないぞ?」
「これは、あちらのお客様からです」
カフェの店主は手のひらを上に向けた腕を注文客に向けた。リオンは後ろを向いてその客を探す。
すると、前の席から三つ目のテーブルにバトラーズの姿があった。
「あの二匹からか?」
「はい」
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