ポケモン不思議のダンジョン・ギルド対決!!〜プクリンギルドVSアバゴーラギルド〜

□前夜〜リオンとピカリ
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あれから六日後──。
いよいよイッシュのポケモン達がやって来る一週間後が、明日に迫っていた──。

その日の夜──。
ポケダンズは自分の寝床につき、寝ようとしていた。
この日、二つのお尋ね者依頼と一つの救助依頼をやり遂げてくたくたになった二匹。待ちに待った日が明日なのもあり、早く寝付こうとしていた。
しかし、お楽しみ前の夜はなかなか眠れないものだ。早く寝ようにも寝付けないのだ。

「リオン。まだ起きてる?」

ピカリは体をリオンの方に向けると、そっと話しかけた。
しかし、リオンは目を閉じており、ピカリの声に反応していないようだった。

「寝ちゃったんだね……」

少し残念そうに呟くと、リオンの寝顔をじっと見つめた。

(――昔は可愛かったなあ……)

ピカリは今のリオンとリオルの頃の寝顔を比較した。
まだ進化していなかった頃、今日のように眠れない時があるとよくリオンの寝顔を覗いていた。いつしかそれが習慣になっていた。
しかし、世界を救い、進化をしてからは何故か見ることがなくなっていた。
今のリオンの寝顔も可愛らしく思うが、リオルの頃と比べると、やはり進化前の方がいいと思った。
ピカリがそんなことを考えていると……。

「男に“可愛い”言うな!」

「!?」

リオンは閉じていた目を開け、ピカリに言った。よく見ると、元々の青い顔が少し赤くなっている。──そう、リオンも、実はまだ起きていたのだ。
リオンが急に声を発したため、ピカリは呼吸が止まりそうなくらい驚いてしまった。
落ち着くと、キッとリオンを睨み付けた。

「ビックリしたじゃない!!起きていたんだったら返事してよ!」

ピカリはリオンよりも怒りのこもった口調で言った。

「あっ……悪かった!驚かすつもりじゃなかったんだ……」

ハッとなってリオンはすぐに謝った。しかし、ピカリが怒った原因はそれだけではない。

「それから、勝手に心を読まないでよ!!」

ピカリの顔が赤くなっている。
さっきまで思っていたことを全て聞かれて、怒らないポケモンなどいるはずがない。しかも、聞かれた相手のことだから余計に恥ずかしかった。
ピカリの今にも泣きそうな顔を見て、リオンは本当に悪い事をしてしまったと反省する。

「ごめん……。俺もピカリと同じく眠れなかったから……波導でまだ起きているのか確かめようとしたら、ピカリが話しかけてきて……」
リオンはもう一度謝ると、あの時返事を返さなかった理由を説明した。
聞けば、いきなり話しかけてきたため、驚いて返事をすることを忘れていたらしい。しかも、波導を読みとろうと目を閉じていたため、ピカリには眠ってしまったのだと誤解され、完全に話すタイミングを失ってしまったようだ。
少し時が経ち、ピカリが急に何も喋らなくなると心配になって波導を調べた。すると、自分の寝顔が可愛いかったなどと言っていたのが聞こえてきたではないか。リオンは恥ずかしくなり、思わずピカリに話しかけてしまったのだった。
ピカリはこの説明を聞くと、リオンに謝った。

「……じゃあ、私が誤解したのが悪かったわね……ごめんね」

これを聞いてリオンは、慌てて「そんな事はない」と言った口振りで言った。

「いや、俺がすぐに「起きてるよ」って言えば済む話だったんだ。ピカリが謝る必要はない」

いつまでも気まずいのは嫌だったため、話を変えた。

「ところで、あの時何の話をしようとしてたんだ?」

「明日のことについて話したかったんだけど……」

リオンの問いに答えている途中、ピカリが、

「ふわああ……」

と、大きなあくびをした。
「……ごめん。なんか怒ったりなんだりしたら、疲れて眠くなっちゃった……」

ピカリは申し訳なさそうに言った。
リオンも同意する。

「ああ……俺も何だか眠くなった。もう遅いから寝よう。その話は明日でもできる」

うつったのか、リオンも続けて大きなあくびをした。
ピカリは頷くと、再び横になった。
二匹はそのまま眠りにおちていった。

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