歌×庭混合

□朝の電話・遅刻
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「月宮。ケー番交換するぜよ」

『別にいいですけど基本携帯を携帯していないので出ませんよ?』

「あるとないとじゃ違うもんじゃ」

『ああ、まぁ、はい。そうですが』


携帯を出して連絡を取れるようにする。

実際のところ、携帯はいつでも持っている。


ただ、番組の撮影中だったりすると、連絡がきても返事はできない。


『にしても、今時ケー番、なんて言う人久々に見ました』

「惑わせるためにはいつの言葉も言えるようにしておかんとのう」

『なるほど』



今更ですが。

ここは屋上。


今日はお弁当を忘れたので購買でミネラルウォーターを買って飲んだ程度。

その様子を誰かに見られたら心配されかねないので一人で屋上に来たものの、後から仁王君がやってきて今の状況に至る。



「お前さん、この前迎えに来ていた男とはどういう関係じゃ?」

『幼馴染ですけど』


レンのことをいっているんだろう。

仁王君は屋上の床にゆったり寝転がって目をつむった。


…寝る気…?


『仁王君はお姉さんがいそうですよね』

「…なぜ分かった」

『兄か姉がいる人は基本自由な人か、ハッキリした人なんですよ』



寝転がっている仁王君に近づいて、頬をつつく。

自分のことを知られるのがあまり好きじゃないタイプだ。


頬をつついていると、ぷくーと膨れる。



「俺のことはいいから。月宮のことをもっと言ってほしいなり」



かわいいことをおっしゃるお兄さんだ。



『私に興味があるんですか?』

「…さぁのう」

『好きな食べ物は果物類。
嫌いな食べ物は特になし。
誕生日は5月15日。特技は分からないですが、好きなことは実家の犬と遊ぶこと』


適当にプロフィールを述べていく。


「実家?今一人暮らしなんか?」


最後の一つが引っかかったのか、こちらに顔だけ向ける仁王君。


『今は知り合いの人の部屋にいるんです。
シェアルームみたいな感じですね』



…寮だからそう言っていいはず。
っていっても部屋は普通に自分一人で使ってるけど。


頭の中で付け加えながらそう言った。



『就寝時間は基本的に21時から23時の間。起床時間は6時くらいです』


「ほう…早く寝てるんじゃの」

『はい。だから疲れたときとかは朝起きれませんね』

「ふーん…」



何か考えるような顔。
この人が企むと変なことしか起こらなそう。


『仁王君のことは教えてくれないんですね』

「興味なかろ」

『ありますよ。誕生日くらいは教えてください。覚えておくので』

「12月じゃき。まだまだ先じゃ」

『先でも、私は覚えてますから。日にちは?』

「4日」

『…了解しました。じゃあ12月はプレゼント二つですね』



メモ帳に記入してポケットにいれておく。

すると仁王君は横になって肘で頭を支えてまたこちらを向く。


「二つもくれるんか」

『ええ。約束しますよ』



笑顔で言うと興味深そうに、ほう。とだけ返ってきた。

そのとき。





バンッ




『わっ…。またですか…』



大きな音がして、そっちに目を向ければ赤也君。

なんていうデジャヴ。



「月宮先輩ここにいっ…うわ。なんで仁王先輩いんスか」


赤也くんがこちらに歩いてくると嫌そうな声を出した。


「そんな嫌そうな声出すな」

『まぁまぁ。それで、どうしたんですか赤也君』


赤也君は私の前に正座して、ぎゅっと両手を握って来ながら言った。


「俺、今週の土曜日先輩と遊びたいっす!」

『…?ああ…えーっと。今週の土曜日…ちょっと待ってください』


握られた手をそっと離して、胸ポケットから手帳を出した。


今週の土曜は確か午前中で終わりだった気がする。

ジャケットの撮影だけだったはずだから、多分すぐ終わるかな。



『いいですよ。午後からでよければ』

「マジっすか!うわーうわー!すっげー嬉しい!」



その場に寝転がりコロコロとそのへんを転がっていた。

本当に嬉しいんだ。
…ちょっと頭がコンクリートにあたって痛そうだけど。





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