歌×庭混合

□双子・呼び出し
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あれから数日。


『やっぱり朝は見れないか…』


学校。

朝。

そして女生徒。



テニスコートをちょろっと覗いたものの、人人人。

そんな光景にも慣れてきたところだ。



仕方なく、教室へ向かおうとする。


「あっ、月宮センパーイ!」

『…、…』


テニスコートのフェンスの向こうから、赤也君が手を大きく振る。

私は笑顔で手を振り返した。


…が。


フェンスの周りにいた女生徒達は私を睨んでいる。

男性の嫉妬は醜いといいますが、女性の嫉妬も傍から見れば醜いものだったりするもんです。


今日の朝はそれを経験しました。


「赤也!真面目にやれ!」

「へぇーい」


低い声が響いて、赤也君は戻っていく。

幸村君が部長だって聴いたから、多分今のは副部長さんの声だろう。

私は今度こそ教室へ向かう。


捻挫は、あのあとシャイニーに見てもらったところ、酷くないらしい。

シャイニー印の湿布をつけたらなんとぜんっぜん痛くなくなった。


さすがシャイニー。


教室に入って、自分の机につく。



今日の予定は…。

インタビューの受け答えと曲のレコーディング…。

そういえばこの前行ったスタジオ、雨漏りがどうのってなって違う場所になったんだっけ。


多分早乙女学園のレコーディングが一番近いし機材も整ってるからそこだろうな…。


「月宮さん」

『はい?』


二人の女の子が、私のところへ来た。


…随分顔立ちが似ている。
片方の子は髪の毛が長いが、片方の子は短い。

違いはその差だけなんじゃって言うくらい、似ていた。



「あのね、実は気になってたんだけど…」

「テニス部、好きなの?」


唐突な質問に少し驚きながら、はい、と答える。


「やめた方がいいよ?もし好きでも、あんまり近寄っちゃうとファンの子に変なことされちゃうし」

「このクラスには凄く好きって子がいないからいいけど…。
ほら、この前もさっきも切原君と…」



二人はどうやら心配してくれているようだ。



『テニス部の人が好きなんじゃなくて、テニスに興味があるんです。それで教えてもらおうと思って。
だから、心配しなくていいですよ』



そう言うと、二人は少し柔らかい表情になった。

「よかった。前にね、テニス部のマネージャーになるって言った子がいたんだけど、その子ファンの子にいろいろされちゃって…」


「不登校になって転校していったから、大きな問題にはならずにすんだけど、やっぱりよくないじゃん」


なるほど…。

二人はその子と親しかったのかな?
私がその子の二の舞にならないように言ってくれたんだ。


『ありがとうございます』

「だから、もし何かされたりしたらあたしたちに言って?」

「あたしが島崎美佳。こっちが由佳。双子なんだ」



あぁ!だから似てたんだ。

心の中で納得して、笑みをこぼす。



『本当にありがとうございます。よろしくお願いしますね』


「「もちろん!」」



シャイニー。

私、初めて双子の女の子の友達が出来ました…。



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