歌×庭混合

□初日
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「と、いうわけで…。Ms.榊原にはこの学校に通ってもらいマース」

『じゃあ行ってきまーす』

「って、ちょっと待った!いろいろ確認することがあるだろ…」

『ですよね。さすが龍也さん。鋭いツッコミ!』

「普通だこんなの」



その日、学園長室では面白い漫才が行われていた。

…いや、正確にはただのお話なのだが。


学園長室には早乙女学園Sクラス担任の日向龍也と、学園長のシャイニング早乙女。

そして、現アイドル榊原真琴がいました。
シャイニーが座っている椅子とセットの机の上には、一冊のファイル。

『期間限定で、私が榊原真琴ということを隠しながらこの学校に登校するんですよね?』

「ソウデース」

「…ほんと、適応能力すごすぎるよなコイツ…」

『龍也さんに褒めて頂けるなんて感激…!ありがとうございます』



呆れた顔で言う龍也にきらきらとした笑顔になる真琴。

その様子に、また呆れて笑う龍也。


「この学校はテニスで有名な学校。テニスの大会で、全国大会でも優勝した学校なのデース」

『あぁ、なるほど…!だからこの学校なんですね?』

「そういやお前さん、ドラマの主演でテニス関係のやつやること決まったんだっけ?」

『はい。ですが私、テニスって未経験なんですよ…。
これはまずいっ、ということで、この前早乙女テニスコートで軽くやってみたんですが…』

「ダッメダメのダーメでしたからネー。
シャイニング事務所のアイドルたるもの、それくらいマスターするべしべしべしなのデース」


真琴はシャイニーに事実を述べられ苦笑する。

龍也は、なるほどな、と呟いた。


その学校でテニスというものを身近で見て少しはマシにさせろ、という意味だろう。



『せっかく頂いた機会ですし、楽しみながらテニス、ある程度出来るように頑張ってきますよ!』

「その意気だ」


日向が真琴の頭をぽんぽん、と撫でると、真琴は目を細めて微笑み返した。

真琴が向かうは立海大付属高等学校。

既に制服に身を包んでいる彼女は、本日学校へ向かうことになっていた。


『にしても…。まだこの校舎は静かですねー…。珍しい』

「まだ生徒たちは寝ていていい時間だからな。
一応、ちらほらいるとは思うから、あんま姿見られないようにな?」

『承知しました。では、行って参ります…!』


敬礼して、扉の前で深くお辞儀する真琴。

日向もシャイニーもそれを見送ったあと、彼女がいなくなった部屋で呟く。


「本当、アイツの中には楽しいことしかないみてえに言いやがる…」

「そこが彼女の魅力なのデース。彼女は新人が感じる苦痛を苦痛と思わない…。
故に、いつでも笑顔が絶えないのデース。新鮮な素材デスネー」

「中々ない奴を探し当てたもんだ」




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