勇者王ガオガイガーFINAL/Brave
□プロローグ
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機界31原種の脅威が去った青き星――地球。
だが、原種の脅威が過ぎ去ろうとも、地球は絶えず別の脅威に晒されていることを、我々は忘れてはならない。
そしてそんな脅威から人々を守り、平和な世の中を築き上げている勇者達が居ることを、我々は知っている。
ガッツィ・ギャラクシー・ガード――通称GGG。
彼ら勇気ある勇者達の活躍により、我々が変わらない平和な日常を過ごせていることを忘れてはならない。
「こいつは、また派手なもんだな…」
瓦礫の山と化した建物を見る男が呟いた。
――数々の苦難を乗り越え、機界31原種を打ち破り、地球を救った勇者。
彼の名は獅子王 凱。
獅子王 凱の人生は苦難の連続だった。
木星探査で行方不明になった母を探す為、宇宙飛行士になる夢を実現した凱だったが、その初飛行の時、突如として機界31原種の尖兵、EI-01との接触事故により瀕死の重傷を負ってしまう。
しかし、EI-01を追って地球圏に飛来したメカライオン『ギャレオン』によりもたらされた、『勇気』を力に変える『Gストーン』と、父である獅子王 麗雄により、凱はGストーンを持つサイボーグとして蘇った。
そして、地球の科学とギャレオンによってもたらされた宇宙の技術の結晶となるスーパーメカノイド『ガオガイガー』の力と、頼もしい最強勇者ロボ軍団、そしてGGGの仲間達と共に様々な苦難を乗り越え、ついに、機界31原種を統べる『Zマスター』を打ち倒し、最強最悪の敵、『機界新種』をも倒したのだった。
その機界新種との最終決戦の時、Gストーンの奇跡によって凱は生身の身体を取り戻した。しかし、その身体はただ生身の肉体ではなかった。
Gストーンの導きにより、Gストーンとサイボーグが融合した超進化人類『エヴォリュダー』となったのだ。
凱はGGG機動部隊の隊長として、機界31原種の脅威の去った地球で、今も別の脅威と戦っていた。
その最もたる名は『バイオネット』と呼ばれる国際犯罪シンジケートである。
バイオネットは様々な違法な人体実験を行っており、生体兵器の製造に関しては極めて高い技術レベルを有している。
凱の従妹であるルネ・カーディフ・獅子王を誘拐し、サイボーグとして改造したのもバイオネットである。
そうした身近にバイオネットの被害を受けた者が居るとあってか、凱の表情もいつもとは違い、少し晴れない。
自分以上に突撃志向で苛烈な性格の従妹が時々心配にもなるが、彼女もGストーンを持つ1人の勇気ある者だ。それにあまり心配し過ぎると彼女を怒らせるだけだろう。
思考に一区切りを置いた凱は、同行した戦友に声をかけた。
「どうだ? ボルフォッグ」
「凱機動隊長。やはり今回も同じような物です」
「そうか…」
凱が破壊されたバイオネットの秘密基地に立ち入るのは、これが初めてじゃない。
基地機能は完膚なきまでに破壊されているが、データベースや人員にはかなり配慮されており、人的被害こそあるが人間の死者を1人も出していないのだ。
シャッセールを始め、各国のGGG支部や諜報機関にも問い合わせているが、末端とはいえ、破壊されている秘密基地にはメタルサイボーグや簡易型ハイブリッドヒューマンも存在し、ところどころではバイオネットロボの残骸も確認されている。
そしてその活動領域は、欧州に始まり、ロシアから南下し中国へ向かって行った。
そしてこの基地は比較的大きな物だったのだろう。
「やっぱり、バイオネットロボからフェイクGSライドも抜かれているのか?」
「ええ。そのようです」
フェイクGSライド――
かつてバイオネットによって奪われた物質瞬間創世艦・フツヌシにおいて『創世』したGSライドを模した発動機である。
GSライドの中枢たるGストーンそのものは依然としてその構造やエネルギーの発生原理が解明されていないためにフツヌシといえども『創世』できなかったが、ジェネレーターとしてはGSライドに迫る性能を持っている。
それを個人ないし組織が所持しているというのは、バイオネットに変わる新たな脅威になるかもしれない。だが――
「(多分、悪いやつじゃないだろうな)」
凱はただのカンであったが、一連の秘密基地襲撃犯のやることはかなり派手であるが、お陰で基地の残骸跡を探し出せる上、人的被害も出来るだけ最小限に抑える努力をしている。
これがバイオネットに敵対するなら、その場の人間を皆殺しにした方が足が着くこともないのにだ。
「いったい、どんなやつなんだろうな」
空を見上げながら、凱は呟いた。
勇気ある勇者は、同じ敵に戦いを挑む勇者かはたまた戦士との邂逅の時を、今から待ちわびていた。
To be continued…