星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第17話
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「ぬおおおおおおおおーーー!!!!」


無限螺旋の幾度、破壊ロボを沈めてきた一撃必殺技の近接粉砕呪法――アトランティス・ストライク。


「なっ!」

「はえ? 嘘ぉぉぉっ!?」

「げぇひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!! どーだね、これがスーパーウェスト式超電磁障壁-バリアー-の防御力である! おらおら! 核の1発や2発どころか5、6発でも持ってこんか〜い!!」

「アトランティス・ストライクを防ぐなんて」

「おい小娘! このデモンベインには――」

「喚かなくても大丈夫」


確かに本人をして、核ミサイル5、6発の破壊力を防ぐらしい防禦は、生半可での突破は無理だ。

しかし三位一体でなけれど、このデモンベインに欠けたる部分は無いのだ。


「バリアを張られるなら――」

「喰らえ最終兵器! ジェノサイド・クロス・ファイアァァァァァァァァッ!!」


破壊ロボの全身の砲台からミサイルに砲弾にビームに、工具からは釘が発射される。

次々と着弾する攻撃に、デモンベインは爆煙と劫火の中に消えた。


「げぇっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! どーだ思い知ったであるかパチコンめが! 所詮、贋作程度では我輩のライバルに対する熱きソウルを受け止めるなど器が小さすぎて表面張力もオーバーブレイクにだだ漏れである。やべ、かーちゃん! 水道屋にテレフォンパンチである!! 新品の水道管が破裂するなんてきーてねーぞ!!」

「ああ。毛ほどにもきーてねーぞ」

「ほへ?」


爆煙の中から視線を感じたドクターウェスト。

黒煙を引き裂く白い輝き。

障壁を展開し、無傷の様を現したデモンベイン。


「伊達や酔狂でデモンベインを名乗っちゃいないさ。人智の及ばない悠久さえも置き去りにする邪神の箱庭の中で、俺達はこの剣を磨いてきた」


デモンベインの内より、爆発的な魔力が生じる。その魔力は腕を伝い両手に集中する。

両手は剣指を結び、頭上高く掲げられ、そこから扇を開くように左右に腕を開く。それに伴って背後に魔法陣が展開する。

そして周囲は結界に包まれた。


「光差す世界に、汝等暗黒、住まう場所無しっ!!」


「おのれ、みすみすやられてなるものか!!」


右手に集う魔力。魔力は術式によって無限熱量を内包する超重力の渦――ブラックホールを造りだした。デモンベインは、その右手を破壊ロボに向けて構える。

破壊ロボもその躯の天辺から巨大なドリルを生やす。


「乾かず、飢えず、無に帰れっ!!!!」

「メガ・ドリル・ブレェェェイク!!」


ブラックホールの在る右手を引き絞りならがら疾駆する。

破壊ロボも、ロケットのように飛び上がり、砲弾の如く真っ直ぐデモンベインへ向かっていった。


「レムリアァァァァ・インパクトォォォォォォォォォォッッッ!!!!」


右手に展開されたマイクロブラックホールが、破壊ロボに叩き込まれた。


「昇華ッ!!」


最後の一節とともに、デモンベインは、脚のスラスターと腰のシールドを解放して、結界内から離脱する。


「ノォォォォォーーーーー!!!!」


結界に包まれた破壊ロボは、爆縮燃焼効果による無限熱量で昇華された。

そしてデモンベインは、爆縮効果によって結界より溢れ出す光りを、勝利の証のように受けながら腕を組んだ。

結界が消えると、そこにはただ、巨大なクレーターだけが残った。






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