星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第13話
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「シューーートッ!!」

「なんのっ!」


私は撃ち出されるシューターをイタクァで撃ち落としながら、クトゥグアで直接贋作を狙う。

しかしそれも障壁で防がれてしまう。

もしあの贋作が高町なのはそのものをコピーしている存在で、魔導もそのものの能力を得ているのならばこんな粗末な贋作の魔銃では障壁の突破は絶望的としか言いようがありません。たとえ障壁を抜けられてもバリアジャケットを撃ち抜く威力が残っているか――


「ちっ!」


打つ手がないわけではなくとも、アレを使うのは最終手段としたいものですが。

打つ手なしというわけではなくとも、それをする事はかなり危険な賭けとなり、この事件の元凶と戦う魔力まで注ぎ込んでしまう結果となる。

それだけは避けたかった。


「ディバインバスター!」

「くっ!」


ディバインバスターを真横に避けてクトゥグアを撃つ。


「きゃっ!?」


三発撃った内の一発が爆発を起こした。


「やはり魔弾を撃っただけでも貫けませんか」


爆煙が晴れれば無傷な贋作が現れた。

展開されている障壁にも亀裂などは見受けられず。これは少し覚悟を決めなくてはなりませんね。


「どうして…」


贋作が呟いた。喋れるのですか?


「どうして、アナタが其処に居るの?」

「膠着状態から心理戦を仕掛けますか? 生憎とその手の心理戦など、私が想定していなかったとでも?」


私はクトゥグアとイタクァを構えながら贋作の挙動を伺う。

しかし贋作はレイジングハートを構えるのを止めた。

いったい何をする気ですか?


「なんで私の身体を使って好き勝手するの? 私の身体を傷つけるの? 私、とっても痛かった。とっても熱かった。泣いているのにその声も出せなくてとても苦しかった」

「ッ――!?」


贋作の紡ぐ言葉に、私の胸が大きく鼓動する。

まるで言葉に胸を切り裂かれたかような感覚。


「アナタの所為で――すずかちゃんが戦いに巻き込まれた!!」

「ッグ――!!」


贋作が紡いだ言葉にまた胸が鼓動し、物理的な痛みまで発した。


「アナタが居なければ、私は平和のまま過ごせたのに! すずかちゃんだって戦わないはずだったのに!! ぜんぶアナタのせいだっ!!」

「ガハッ! グゥゥ――ッ! ギィィィ……アアアアアアアアアア……! ヒィアアアアアアア!」


言葉は時として、どんな刃よりも強く鋭い刃となる。

ムネガイタイ――

ムネガアツイ――

ムネガ……タマシイガ……ハジケルッ――!!

まるで贋作の紡ぐ言葉の一字一句が熱せられた刃のようになのはの胸を焦がし引き裂くかのように――胸の内側から何かが飛び出しそうになる。


「私の居場所に居座って、なのにのうのうと暮らして、みんなを騙して!」

「チガ…ワタシ、ハ…」

「違わないよ。みんなを騙して、嘘を吐いて。アナタは何様のつもりなの? シュテルちゃんの真似までして、楽しい?」

「ワタシはっ!」


私は張り裂けそうになる胸を抑えながらクトゥグアの銃爪を引く。


「無駄だよ…」


まるで見飽きたと言いたげな表情で贋作はクトゥグアの弾丸を飛んで避けた。


「アナタを殺して、私は私を取り戻す!」


ガシュンッ、ガシュン、ガシュン、ガシュン――

レイジングハートから4発のカートリッジが吐き出され、贋作の魔力が底上げされる。だが、それだけではない。

レイジングハートに環状魔法陣が展開され、贋作の足下にもミッドチルダ式魔法陣が展開され、周囲の魔素までもが贋作に向かって集まっていく。


「ッ、スターライトブレイカーですか……アナタ、自分の身体を殺す気ですか!?」

「傷ついた身体なんか、アナタが住み着いた身体なんて要らない。それに私は私としてここに居るから、そんな穢れた身体なんか要らない」


贋作の前面に魔力が集まり、巨大な魔力球が形成され、収束の術式が込められた環状魔法陣が魔力球を一周して展開される。

あんなのを殺傷設定で喰らったら塵も残りません。


「出し惜しみとかあとを考えている暇はありませんね!」


私は余計な思考を遮断し、生き残る為に全力を向ける。

全身の魔術回路を開き、魔力を循環させる。






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