星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第7話
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時計の鐘の鳴る音で目が覚めた。

寝ぼけた意識のまま時計を探す。

途中で何か柔らかい物を掴んで艶めかしい声が聞こえても無視。

時計を見つけて鐘打つ音を止める。

布団からもぞもぞと顔を出せば愛くるしい寝顔とエンカウント。


「アリサ、起きてください。アリサ」

「ん…んふ……あ、らめ、なのは…そっちは……」


甘い吐息を零しながら寝言を言うアリサ。


「愛らしいですよ。私のアリサ」


アリサの額に口づけをし、布団から出ながらなのはは少し険しい顔をしていた。

宇宙で戦う2体の鬼械神の夢。

アイオーンとリベル・レギスの夢――

そしてそのリベル・レギスに乗っているのはある意味毎日耳に聞く声ではなく少女のような声だった。

姿や顔まで見えなかった故にどんな誰かはわからないのだが――


「探してみる価値はありますね」


もし夢が夢でなく現実だったのなら、大破とはいえ運良ければ鬼械神が手に入る可能性がある。それにアイオーンを内包する世界最強の魔導書の特典付きだ。

上手く付き合いを持てれば私は大いに力を手に入れられる。

打算的なのは仕方がないのです。そういうヘタレ根性ですから。

可能な限りの強化フラグは回収するのに限るのですよ。


「アリサ、起きてください。アリサ」


とりあえずはアリサを起こさないことには始まらないので、起こすことにする。

それからシャワーを浴びて寝汗を落としていく。

アリサに関しては、すべてを語ったのは父・士郎のみ。

それは、アリサの過去はやはりあまり口にすることは憚かれる内容だからだ。

アリサ――アリサ・バニングスと被らないようにアリスと呼ぶことになった彼女の同居には特にこれといった障害もなく、彼女は我が高町家にて『私』のサーヴァント兼友達以上恋人未満辺りの関係で過ごしている。一部はある意味恋人なんていう次元を通り越してしまってはいるが、アリサが求めてくれる、誰かが高町なのはではなく『自分』自身を求めてくれる。


「そんな嬉しいことに身を委ねてしまうのはいけないことだと思いますか?」






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