星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-
□第6話
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私はあの日以来、なのはちゃんを護る為に努力を続けてきた。
魔術も錬金術も、今は廃れてしまっていても未だに生きている技術を手探りで学習して。
闇に生きる夜の一族だったことは僥倖だった。お陰で私はなのはちゃんを守れるのだから。
でも独学だと直ぐに行き詰まりが見えてしまう。だから私は一つの賭けに出てみた。
召喚魔術で、魔術に優れている使い魔を召喚すること。
媒介には私の血を使って、陣も、私の血で描いた。
そして私は呼び出した。
『闇』を……。同族にして遥か高みに居る高次元の存在を――
『タタリ』と呼ばれる現象となった不滅の存在。錬金術師にして死徒二十七祖の第十三位に座す吸血鬼。
金髪で長身の顔の整った紳士の姿であり、大きなマントを羽織っている。その眼は閉じているのにまるで総てを視ているかのように感じられた。
あまりにも次元の違い過ぎる存在に、私は最初は言葉も無かった。
『血』が『本能』が告げていた。
"アレ"は次元の違う存在。自分などいとも簡単に始末してしまえる存在だと。
それが彼――ズェピア・エルトナム・オベローン。
『タタリ』というあやふやな存在にして最も不老不死に近い存在。
ヒトの『噂』が集まって初めて実体化する存在。故に殺せない。
優れた錬金術師で、私の使い魔-サーヴァント-。
彼のお陰で、無知蒙昧だった私は少しだけ『世界』という物を知る事が出来た。
そう、私が生きる世界は御伽噺のひとつの『世界』――その可能性のひとつであることを。
そこでは私が居なかったり、なのはちゃんは明るい女の子だったりするけれど、私は今の大人っぽいなのはちゃんの方が好き。
だから守ってみせる。
私達の未来を――
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