あいとゆうきとむげんのかなたへと
□第四話 妹たちの心
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2097年12月某日 瀬戸内海
俺は今、自身が死んだ場所に来ていた。
この世界とは違う世界で違う時代を生きる自分。
自分の住む世界がMuv-LuvとISの混じった世界だと知ったのはその時だった。
政威大将軍と戦術機の存在は俺に衝撃を与え、BETAでも攻めてくるのかとも思ったが、戦術機の開発が進むだけで特にそれはない。
もっとも、亡国企業なんて秘密組織がある世界だ。BETAが居なくとも戦術機の存在は必要とされているし、唯一ISに打ち勝てる可能性を秘めている兵器だ。
戦術機の仮想敵はISともいえた。しかし今のところ戦術機の仕様変更等は表向きには見られなかった。
そんな事を考えていると、視界にスモーク張りの黒い車が移った。別にそれだけなら良い。だがその後ろを軍用の装甲車や87式自走整備支援担架で戦術機が運ばれていたら偶然だろうとも変に思うだろう。フロム脳という妄想脳が動いてしまうと言うものだ。
しかし次の瞬間にはそんなこと思う暇もなかった。
黒い車のタイヤが突如パンク。
装甲車は爆発して吹き飛んだ。
87式自走整備支援担架は急停車して戦術機を起動しようとするが、起動前の戦術機は木偶の坊だ。
しかしそれをまるで守るように複数のIS部隊が展開する。機種は打鉄。日本製の第二世代量産型ISだ。
敵は長距離攻撃か狙撃でもしているのだろう。
打鉄は実体シールドでそれを防いでいる。
戦術機が起動する。機種は不知火だ。日本所属なのだろう色はグレーだ。
対する敵は不知火ではなくISを潰しにかかったらしい。戦術機は確かに戦力として申し分ないが、ISの運動性は機体サイズの関係上戦術機に勝る。故にISが一番怖いのは同じISだ。
突如として始まった戦闘に俺は言葉もなかった。
目の前で起こっている現実が質の悪い冗談のようにしか思えなかった。
1機の打鉄が撃墜されて俺の目の前まで墜ちてきた。
黒い車から人が出て来た。
そこで見たのが篠ノ乃箒だった。
本当に質の悪い冗談だ。
気づけば敵は戦術機まで持ち出して来ていた。
機種はF-15 イーグルだ。
不知火なら勝てる機体だが、3対1では分が悪すぎる。
篠ノ乃箒の方も2機の打鉄とラファール・リヴァイブが護衛を倒して迫っていた。
目の前には打鉄が待機状態になって転がってきた腕輪がある。
信じられない状況と、麻痺した頭は何を思ったのか、打鉄に腕を伸ばしていた。
触れた瞬間、頭の中を駆け巡る情報の奔流。
気づいたら俺はその身に打鉄を纏っていた。
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