星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第13話
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「……ぁっ、ぅぅっ……こ、ここは……っ!? なのはちゃん!?」


意識を取り戻した私は自分の手を見た。

あの時、光に包まれた時にあった確かな感触。

小さくて、軟らかいのに私よりもボロボロで大きい手は其処にはなかった。


「ッ――!!」


煮えたぎりそうになる思考を鋼の凍てつく精神で抑えつける。

それよりも今やるべきこと、心配することはなのはちゃんの安否の確認が先!


でも魔術で探ればまた罠がないとも限らない。それに――


「なのはちゃんの血の匂い……」


身体の芯が熱くなってくる。動悸が激しくなってくる。勝手に髪が紅く染まっていく。吸血鬼としての血が表に出て来る。


「良かった。今往くから――って言いたかったんだけれどね」


私が倒れていたのは学校や病院の廊下のような場所。

でも廊下の造りとドアの並びから多分学校だと思う。

その多分教室に続くだろうドアから次々と現れたのは、学生服を着た人形だった。

人の等身大もある人形で、足首や手首が球体関節じゃなかったら人間と見た目を勘違いするかもしれないできだった。


「でもノエルやファリンには劣る瓦落多-ガラクタ-だね。――――Anfang-セット-」


私は魔術回路を開きながら腰からある物を取り出す。

それは包丁やナイフにもある『柄』だった。

でもそこから刃が飛び出してそれは初めて短刀になる。

銘は『七ツ夜』――


「――――投影、開始-トレース・オン-!」


私は投影魔術を発動しながら人形達に突撃する。

人形達も私に向かって動き出すけど、まるで出来の悪い木偶の坊だ。

バイオハザードのゾンビくらい動きが遅い。

身を屈め、空気抵抗を最小限に抑えて踏み込む。

先頭に居る3体の人形をすれ違い様に斬って通り抜ける。


「閃鞘…七夜!」


そう、私が投影するのは物じゃなく技術。

ズェピアさんに頼んで七夜志貴、赤朱秋葉の悪性情報を頭にインプットして貰って、それを投影して自身の技として使うのが私の投影魔術。

利点は素人の私でも七夜の体術や秋葉の技が使えるけれど、代償に投影中は魔力を消費するのと、魔術回路を開きっぱなしにするから身体に激痛が常に走る部分かな。


「カット……」


人形の脚を斬る。


「カット、カット……カット…」


腕を斬り、胸を斬り、腹を斬り――


「カットカットカットカットカットカットカットッ!」


頭、指、脚、腕、肩、目、耳、手首、足首、腹、胸――


「斬刑に処す――」


最後の人形を襲う斬撃は六つ。

首、両肩、両脚、胴体を切り裂く!


「その六銭、無用と思え――」


マントを翻しながら後ろを見れば、解体したのはざっと30人後半。

でもまだまだ居るみたい。


また次の教室からわらわらと人形達が出て来る。


「よっぽどの暇人か――それとも」


いや、無駄な事は考えない。今はなのはちゃんのところに行かなくちゃ。


「マンションとかを解体するのよりは楽だと思いたいけど、私の邪魔をするもの全部、狩り執ってあげる」


私は七ツ夜を構え直してまた人形達の解体を開始した。






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