星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第10話
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「いぃぃやああああああああああああーーーー!!!!」


アリサは墜ちていた。

ビルの上から墜ちていた。


「何をしているか汝! 飛ばねば死ぬぞ」

「いきなり突き落とした諸悪の根源がなにを抜かすかぁぁぁああー!!」


マギウス・スタイルの為、小さくなったアルがアリサの耳元で言う。

魔術は実践してこそ精練される技術だ。

しかしそうそう魔術を実践するだけでは伸びは著しい。

故に実践的な方法=高所からの身投げ。

という方法を採った。

彼の魔導探偵もミスカトニック大学の時計塔から墜ちて落ちて強くなったのだからあながち間違いとも言えないが、8歳の子どもにそれをやらせるのは如何なものか。


「ま、マギウスウイング!」


術式に魔力を通して、アウトスカートが魔術師の翼となる。


「うむ。一発で成功させるとは。やはり汝には魔術に関しての才には明るいようだ」
空中に浮かび関心するアルだが、アリサの内心は複雑だ。

アルと出逢ったあの日から、アリサは既視感を感じる事が多くある。

魔術に魔力の制御。簡単な錬金術からアルの飛び散った頁のこと。

知らないはずの事を識っていること、知っていくことへの不安。

そして紅い鬼械神と戦う刃金の鬼械神。

燃え盛る街の空に浮かぶ黒い星。

魔術、そしてアル・アジフという特殊な事が多すぎて相談する相手も居ない。


「ハァ……どうしろってゆーのよ」

「なんだなんだ。ため息など吐きよって」

「誰の所為だと思ってるのよ…」


しかし契約を結んだのは自分からだ。

それに識ってしまったからには自分がやるしか無い。

あんな怖い思いを他の誰かにやらせるのも後味が悪い。

今回収出来ている断片はアトラック=ナチャ。

他の飛び散った断片は、ニトクリスの鑑、バルザイの偃月刀、クトゥグア、イタクァ、ロイガー、ツァール、シャンタク、ド・マリニーの時計、鬼械神アイオーン――

大まかにはこのような物だ。

幸いなのはブラックロッジなりの妨害が無いから、頁探しもページモンスターになる前に探し出せば被害も少ないだろう。

しかし戦う必要も出て来るだろうからこうして鍛えているのだ。

しかしいくら魔術師になったとはいえ、アリサも小学生だ。
もうすぐ夏休みだからいいものの。頁探しは夏休み中に終えてしまいたい。

1日2日くらいの授業の遅れは取り戻せても、それがしょっちゅうとなって成績を落とすわけにわいかないのだから。






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