星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第7話
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漆黒の宇宙-そら-。

何者の生を許さずに拒絶する真空の宇宙に、2つの人型があった。

鋼色の巨人と紅の巨人だ。

その2体の巨人は互いに熾烈にして苛烈に、相手を葬る為に、その力を惜しむことは無かった。否、それは鋼色の巨人のみ、紅の巨人はまるで大人が子供をあしらうように振る舞って見えるのは気の所為ではない。

鋼色の巨人はその手にリボルバーを召喚し、一呼吸も置かずに引き金を引いた。

吐き出されるのは魔力に包まれた弾丸だ。

それは一発でも戦艦の一隻や二隻を破壊出来る破壊力を持っているが、紅の巨人はまるで巫女が舞うようにひらりと第一波を躱す。さらに鋼色の巨人は神懸かりな再装填を行い、まるでマシンガンのように弾を切らす事無く撃ち込むが、時に舞い、時に金色の十字架の剣で薙払う。

余波の斬撃が鋼色の巨人を襲う。

魔力を孕んだ斬撃は巨人の右足を切り落とした。

鋼色の巨人は翼を広げ宇宙を疾駆する。

その手には巨大な刀が握られていた。

切り結ぶ。しかし切り返しに、紅の巨人は鋼色の巨人の左腕を刀と共に斬り飛ばした。

その勢いのまま、紅の巨人は鋼色の巨人の顔を鷲掴む。

その鷲掴んだ掌からは紫電が溢れだし、零距離で解き放った。


「堕ちよ――」


真空の宇宙に声が響いた。

それは年端もいかぬ少女のような声だった。

真空の宇宙にて、紅の巨人の上に立ち鋼色の巨人をただ見つめる翡翠の瞳は巨人以外を映さない。


「やはり『今回』もこうなるか……」


まるで疲れ果てたような、そして未来への渇望に満ちた声で少女は呟いた。


「幾星霜と繰り返す呪いの牢獄のグランギニョル。此度は一体、誰を選ぶのであろうかな。アル・アジフ」


少女は幾何度もこの光景を目にしてきた。

そして運命は常に3人の少女を選び、彼女と戦わせてきた。

だがその一度として、終ぞ彼女には敵わないのだ。

魔人である彼女には絶対的に力及ばない彼女達――

だがやがては、やがて何時かはと。

彼女は少女らしく夢を見て無限螺旋を廻り続ける。

すべては邪神の道楽と願いの中に――






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