星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-

□第5話
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私は、いつもひとりぼっちだった。

今まで友達どころか話し相手もろくに存在しなかった。

いつも本を読んで…勉強して…ずっと、ずっと一人で過ごしていた。

死ぬ間際に私は、自分はなんて寂しいんだろうって思ったっけ。

そんな未練があったから、地に縛られる幽霊になったんだろう。

でも今ではそれでも良かったと思う。

今の私には胸を張って言える。

私にも友達がいるんだと。

私よりも5歳年下だけど、10歳年上の変わった友達。

男がキライなはずなのに、一緒に居ても平気な存在。

それは外見がまさしく女の子だからなのか、はたまた別な理由があるのかはわからないけれども、一緒に居ると寂しくない。

一緒に居るのが心地よくて、私が幽霊だからか、それとも『彼』が特殊だからかはわからないけれど、『彼』の想いがダイレクトに伝わるから解る。『彼』も私を友達と想ってくれることが、私は嬉しい。

会える日や時間は、今は限られてしまうけれど、私は寂しくない。

『彼』が約束してくれたから。私にぴったりの最高の器を用意してくれるって、だから寂しくなんかない。

だって器が出来れば、私はいつでもどこでも、『彼』と一緒に居られるんだから――


「こんにちは、アリサ」

「こんにちは、なのは。今日は良い天気ね」
「そうですね。昼寝にはもってこいの陽気です」

「じゃあ、一緒に寝る?」

「……少しお話ししてからにしましょう」


今日も私は週に一度の逢い引きに胸が弾む。

これが単なる友愛なのかそれとも恋愛なのか、私にはまだ良くわからない。

でも一つ確実に言えるのは、この温かな時間を何よりも大切にしたい。ということ。






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