星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-
□第1話
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魔法とは千差万別――
例えば複雑な呪文を唱えて精霊の力を行使するというもの。
精霊が関係するものには、精霊魔法というものもある。
他には複雑な術式を通じて自分の魔力のみの消費で行使するもの。リリカルな魔法はこちらに近いだろう。
他にも例を上げればありすぎてキリがないが、リリカルなのはの魔法はプログラムを使って術式としている、科学色が強い魔法である。
しかしそれ故に、リリカルなのはの魔法はそのプログラムを識らなければその魔法は練習出来ない。
しかし魔法の源たる魔力を一応は扱うくらいは今の高町なのはにも可能だった。
「………………」
ゆっくりと時間をかけて心を静め、無にする。
無にした心は『静寂』でありながら魂は燃え盛る劫火の様に熱く『燃やす』。
身体の奥底に在る、感じている存在。
この世界の魔法を行使する上で最も重要な『リンカーコア』を強く意識する。
集中を保ったままリンカーコアで呼吸し、周りのものを集めるイメージ。
そして集まったエネルギー、魔力を……凝縮する。
「ん…っ」
真紅の光が膜のように身体を包む。
身体の全体が温かさを感じ、胸の奥には確かな炎が灯る感覚を感じられる。
MOVIE 1stで語られていた魔力運用の方法。
そして私が最も好きなファンタジー物の中で出て来る一節。
『魔術とは感情を理性で制御し、たかぶる魂を魔力と融合させ、精錬、精製するものなのだ』
その言葉を参考に導いた彼女なりの答え。
それが、その理想像がクールな性格の中に熱いハートを持つ星光の殲滅者-シュテル・ザ・ディストラクター-だった。
だからなのははシュテル・ザ・ディストラクターを演じている。他にも21の男が10歳以下の女の子――『高町なのは』を演じる自信がなかった為もある。
魔力運用の基礎を終えてから、今度は反復横跳びで咄嗟の瞬発力を、バック転や側転にジャンプで回避力を、学校から家までのランニングで
持久力を、今の内に出来る努力というものをこなしていき、その甲斐があってかなのはは運動音痴というわけではなくなった。
しかし動体視力だけ鍛え方がどうにも思いつくことが出来なかった。
兄や姉の稽古を見学するのだが、アレの動きは別次元過ぎて全く見えないのが常。
恐るべし戦闘民族高町家……。今は私もその一員なのですが。
その他にも、図書館で借りて来た剣道の参考書を見ながら、拾ってきた木から魔力刃で切り出した木刀で素振りをやってみたりしている。
自分に剣術の才能があるかどうかは未だわからない。
しかし素振りだけでも腕の筋力トレーニングにはなる。
なのははそう思いながら憂鬱である2度目の小学生生活を過ごし始めた。
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