星光の魔王-シュテル・ジ・エルケーニヒ-
□第15話
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「呪文は言うまでもなく、だよね」
「ですが私に――」
『Let's go. Meister.』
「レイジングハート…」
レイジングハートで戦う事に躊躇する私にレイジングハートが「行きましょう」と言った。
『I am mortifying, lost.』
「うん。そうだね、レイジングハート。私も『自分』に負けたままなのは悔しいよ」
レイジングハートと『高町なのは』の2人の声からは、言葉の通り悔しさが滲んでいた。
『It is as a master saying. Probably, a meister and you are also mortifying? It will be a return match if it becomes. Let's show them our true power and give it.』
「そうですね。それにここまで背中を押されて行かないとは言えません。良いでしょう、私とて心は男の端くれ。覚悟を決めました」
私達の力。私にレイジングハートを握り戦う資格と技量があるかは判りませんが。やられっぱなしが趣味でないのは私も同じです。
『Let's go. Master and Meister.』
「うん! 行こう、レイジングハート!」
「行きましょうか、レイジングハート」
レイジングハートが待機状態の紅いコアに戻り、私と『高町なのは』の中心まで飛んで行き、私達を包む程巨大なミッドチルダ式魔法陣が展開される。
その魔法陣の魔力光は、私と『高町なのは』の魔力光が混ざり合ったピンク色の魔力光。
そして紡がれるのは聖約の祝詞。
その詩は不屈の心を手にするもの。
不屈の心をもって魔導を行使する魔導師となる為の儀式。
「我、使命を受けし者成り――」
『The basis of a contract and its power are set free! -契約のもと、その力を解き放つ――!-』
「風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に――!」
「風は蒼穹-そら-に、星は宇宙-てん-に、そして魔を断つ剣はこの魂に――!」
『高町なのは』から空に昇る桜色の魔力の光の帯と、なのはから蒼穹に昇る紅い魔力の光の帯は天空-そら-で結びつき、二重螺旋を描きながらレイジングハートのコアに吸い込まれ、足下のミッド式魔法陣の輝きが増す。
「機神転生! 永劫-アイオーン-!! 永劫を歩む刃金の翼―― 永遠を翔る刃鋼の刃―― 久遠の果て拠り来る虚無――アイオーン! 汝より逃れ得る者はなく、汝が触れし者は死すらも死せん!」
「にゃ!?」
『Meister!?』
最後になのはが加えた一節。
なのはの躰から字祷子-アザトース-が溢れ、レイジングハートへ注がれる二色の魔力の帯の中心を金色に輝く魔術文字が貫き、レイジングハートの中へ――
そして世界をも灼きつくす程の光に、視界がホワイトアウトする。
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