香水 K×A
□凍てつく焔
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淫蕩に濡れた瞳が、続きを急かす。
その瞳で見詰められればられるほど、私は動けなくなった。
「あ…あ〜ちゃ…早…く」
ごくりと喉を鳴らす音が私の耳にまで届く程に、彼女はその先を期待している。
もどかしそうに擦り合わせられた両膝も、そのことを私に知らしめようとしている。
けれど、期待されればされるほど裏切りたくなる。
それは夜のゆかちゃんに対してだけ働く、私の嫌な性格。
彼女の切なげな表情と掠れた声は、ますます私の衝動を駆り立てた。
何も纏っていない肌をひと撫でしただけで微かに震える身体。
もう我慢はできないことなんて痛いほど分かっている。
しかしそれでも指先は彼女の望む場所には行き着かず、胸の頂点をいたずらに弾いた。
「あ…、ちゃんっ…」
細められた瞳から、透明な雫が零れ落ちた。
それをやけに冷静な頭で見守りながら、熱い頬を撫でる。
「なぁに…?」
「…っ!」
低く甘く囁いて笑ってやれば、たちまち怒りを孕んだ目が私を睨んで、痺れを切らしたように私の手首を掴んだ。
そのまま下へ導かれ、濡れた感触が指に届く。
「…んっ」
ゆかちゃんが苦しげに眉を寄せるのと同時に、濡れた柔らかい肉壁が私の指を食む。
その瞬間、私に脳天を貫くような快感が走った。
「…んっ、はぁっ…あぁ、ん」
恍惚に入り浸る彼女は、私の手を使って一心不乱に自分を慰めている。
鈍い摩擦音と、吐き出される熱い吐息。
「あっ……あ〜ちゃ、んっ…」
「もう、いやらしい子じゃね」
浅く呼吸しながら私の手首を動かすゆかちゃん。
私は爆発しそうな感情を抑えながら、呆れたように笑う。
本当は、私のその場所も充分に濡れてしまっている。
視覚的な興奮だけじゃなくて、収縮を繰り返すその場所が、ひっきりなしにゆかちゃんの興奮を指に伝達してくれるから。
「お願い…っ、動、かして…!」
「嫌」
ゆかちゃんの懇願をさらりと二文字で跳ね除けて、彼女の自慰を悠々と見学する。
ゆかちゃんの赤く潤んだ瞳が私を一層鋭く睨んで、またその目から涙が流れ落ちた。
ゆかちゃんは分かっていない。
その一挙一動が私を喜ばせ、内側のリミッターを一つずつ外していること。
そんな目をして見つめないで。
もっともっと、意地悪してしまいたくなるから。
…ナニカハズレタ。
fin