香水 K×A

□春の嵐
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枯れた花びら、細い枝、スーパーのビニール袋、淡い色合いのマフラー。

それら全てを巻き込んで、さっきからビュウビュウと猛烈に暴れまくる風。

その暴風が奏でる凄まじい爆音にふと気をとられた彼女は、読んでいた雑誌から顔をあげて窓の外を眺めた。

「風、つよいね」

足を投げ出すように座った膝の上に、読みかけの雑誌が放置されている。

窓の方を向いた横顔。

その輪郭のラインを視線でなぞりながら、私はさっき見ていた天気予報から得た知識をそのまま彼女へ伝える。

「春一番だって…」


「あぁー…もうそんな季節なんじゃね」

しみじみと呟いて、少しはにかんだ顔を私に向ける彼女に対し、ね、と微笑み返した。
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